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ミッションこそ成長する事業組織の原動力/泉本 行志

INSIGHT NOW! / 2015年9月8日 7時35分

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泉本 行志 / 株式会社アウトブレイン

以前、ある経営者の方と食事をする機会がありました。

その方は、個人で輸入卸業を数年つづけたのち、
社員を雇って会社を大きくしていった創業経営者。

ざっくばらんに話をする中で、
当時の会社の問題を説明されていました。
その中で、社員の能力・スキル、仕事への姿勢、離職率の高さなどに関して、
随分不満を持っている発言が目立ちました。

そして、今後の課題として、採用や社員トレーニングの話をされたので、
私は「事業のミッション」を聞いてみました。

すると、
「そういうのは、あんまり好きでないんですよ。白々しいというか・・」
といった反応でした。

ここで私は、「そんなことでは、経営者失格です!」
といいたい訳ではありません。
そういう発言が出ることも理解できます。
心の底から出ている発言かは別として、
全ての人が、高尚な理念・想いから事業を始めるわけではないからです。

中には、事業を始めたのは、「このビジネスは儲かりそうだから」とか、
「たまたまチャンスがあったから」ということもあるでしょう。
個人商店としてそのまま商売を続けていくのであれば、
ミッションとかわざわざ言わなくてもいい。

個人の商いとして、利益とチャンスを追いかけ続けるというのもありかもしれません。
「事業の目的=自分の儲け」の世界で、そこそこの事業規模で活動していく。
実際にそれを選択する人も沢山います。

でも、組織として事業経営を行なうことを選択するとなると、
別の次元の話になります。

従業員は、社長の個人的な富のために、
情熱を持って仕事などしてくれません。

お金で繋がった最低限の労働力を提供するに留まります。

これでは、事業を組織化してよりレバレッジを効かそうと
リスクを負って投資したのに、固定費が増えただけで、
期待するリターンを見込めません。
むしろ、面倒なことが増えただけです。

人の集まりである組織が、顧客価値と利益を生みだす
事業システムとして機能するためには、「共有するミッション」が必要です。

ところで、ここでまず、言葉の定義を確認しておきましょう。
というのも、似たような言葉が、人によって微妙に違う意味で使われているので、
私が使う場合の意味合いを伝えておきます。


「ミッション」・・事業を行なう目的、事業の存在意義(「理念」とほぼ同意語としています)【Why】

「ビジョン」・・ ミッションを実現させるために具体化した事業領域(範囲)とその将来像(定量・定性)【Where】

「目標」・・・・ ビジョンを達成していく過程に設ける目印となる具体的な指標・数値


これらは、必ずしも事業を始めたときになかったとしても、
組織として事業経営をすると決めた段階で、真剣に考えてつくればいいことです。

ところが、ある程度の規模の組織になっても、
売上目標くらいしか設けず、
「社会のために・・といった理念・ミッションとかなんか嘘っぽいし・・」
「そんな綺麗ごと言ってたって、儲からないと意味ないでしょう・・」
とミッション策定に反発する経営者も中にいます。

事業を営む以上、利益を上げるのは当たり前の「前提条件」です。
利益がなければ、そもそも事業が継続できません。

そして、これは「利益」か「ミッション」かといった
対立事項として捉えるものではありません。

もし2つが相反すると感じるならば、それは見ている時間軸が
経営者として短すぎるだけです。

ミッションさらにはビジョンに対して、
社員がワクワク感を持って仕事に取組めば、
オペレーションの品質も向上し、結果「顧客満足度の向上」につながり、
既存客(顧客生涯価値)も増える。

また社員満足度も向上し、離職・採用等のコストも削減される。
結果、利益も増加し、事業成長へのさらなる投資も可能になる。

私の知人で大成功している経営者は、
起業したときは、ビジョンも事業プランもなかったそうです。

ただ、明確な「ミッション」だけがあった。

そのミッションに共感して集まった人間で会社を作って、
そのあと、どんなビジネスをやるかを決め、ビジョンを描いていったそうです。

そして、今やすごい個性のある文化をもつ、
最強の事業組織を作り上げています。

この会社は極端な例かもしれませんが、
それほど、事業の「目的・意義」が重要だということです。

商売を事業として組織化すると決めたなら、
その時点から事業経営者としてマインドを改めて、
真剣にミッションの策定に取組むべきです。

そして、それを自らの心に刻みながら、全従業員にも浸透させていく。

成長する事業組織には、必ず共有するミッションがあります。
これこそが、ビジョン、戦略、事業モデル、オペレーション・・
を設計する上での核となり、事業成長の原動力となるものなのです。




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