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ライオン、生成AIで社内データを継承 開発の狙いは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月16日 9時15分

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生成AIの導入でビジネスの効率化や従業員のスキルアップにつながると考えている(ライオン提供、以下同)

 連載「生成AI 動き始めた企業たち」第17回は、オーラルケア商品やせっけんなど日用品を幅広く手掛けるライオンを紹介する。同社は2023年5月、自社開発した生成AI「LION AI Chat Powered by ChatGPT API」を国内従業員約5000人に公開。資料整理やメール対応などの業務効率化に役立てているという。

 現在は、生成AIと検索サービスを組み合わせた「知識伝承のAI化」ツールの自社開発に取り組んでいる。同社が蓄積してきた技術的知見や実験データを、対話形式で効率的に取得できるようにするツールで、24年6月の導入を目指している。

 検証では、従来の情報検索では文書の取得に5~10分かかっていたが、ツールを用いると2分以下と最大約5分の1に短縮できるなどの効果を得られたという。同社が描く、生成AIの活用戦略とは――。デジタル戦略部データサイエンスグループの百合祐樹氏に聞いた。

●Q. 生成AIはビジネスと社会にどんな変化をもたらすか

 生成系AIの導入は、ビジネスの効率化やスキルの幅を広げることにつながると考えています。実際にLION AI Chatの導入によって、各従業員が生成系AIを活用して資料整理やメール対応、コーディング(ソースコードを書く作業)といった業務の効率化を実現しています。また、プログラミング経験のない従業員が、生成系AIに問いかけながら業務の自動化にチャレンジするなど、スキルアップにつなげることでビジネス活動の質を向上させています。

●Q. 自社のAI技術の強みは何か

 自社開発を進めるAI技術は、当社が長年培ってきた技術や専門知識を活用することで、業務の深い理解に基づくサポートを従業員に提供することや、当社ならではの価値をお客さまへ届けることを目指します。

 特に「知識伝承のAI化」ツールについては、まずは研究開発部門の従業員を対象に、これまで蓄積してきた研究データに基づいて生成系AIが若手技術者の知識習得をサポートする役割を担います。これによって知識や技術の属人化を解消し、従業員が素早く専門知識を活用できる体制を実現したいと考えています。

●Q. 自社の競争優位性をどう確保するか

 競争の激しい事業環境の中、従業員が自身の専門性を最大限発揮できる環境を用意するためには、生成系AIを含む先端技術の活用が一つの解決策だと考えています。今後も先端技術の積極的導入と活用の見定めによって、組織全体の事業推進力向上に貢献することを目標として捉えており、そのための人材育成なども併せて行っていきます。

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