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食品ゴミが「お菓子の家」に転生 明治や大阪万博が注目する新技術

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月15日 7時0分

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fabulaは、町田氏が大学在学中に研究テーマとして扱っていた「コンクリートに代わる、食べられる建材」を基にした事業を展開している(画像:以下、fabula提供)

 グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』に登場する「お菓子の家」が現実のものになったら──。これまでは妄想の域を出なかったが、幼少期の夢が叶(かな)う日がすぐそこまで来ているかもしれない。

 「お菓子の家を作りたい」と話すのは、規格外の野菜や食品加工時に出る端材などのゴミを新素材に変える技術を開発した、fabula(東京都大田区)の代表取締役 町田紘太CEOだ。町田氏が東京大学在学中に研究テーマとして扱っていた「コンクリートに代わる、食べられる建材」から現在の事業が生まれた。

 近年、環境への関心の高まりに伴い、ゴミに新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品に生まれ変わらせるアップサイクルなども広がってきた。しかし、fabulaの技術から生まれる新素材はこれまでのアップサイクル商品とは一味も二味も違う。

 その高い価値が認められ、大手食品メーカー明治とのコラボも進行中だ。加えて、2025年開催の大阪万博の建造物の中でfabulaの新素材を使用することも決定している。

 創業3年目のベンチャー企業に、なぜこれほど大きな期待が寄せられているのか。町田氏への取材を通して、fabulaの強みを解明していく。

●白菜が“コンクリートの4倍”の曲げ強度に──どうやって?

 まず、どのような工程を経て食料廃棄物を新素材に生まれ変わらせているのかを見ていこう。プロセスとしては、野菜やコーヒー豆のかすなどを乾燥、粉砕し、その粉末を金型に入れて熱圧縮するという流れだ。ワッフルやタコせんべいを作るようなイメージが近いという。

 単一食材でなくても加工は可能で、過去にはコンビニ弁当なども試した。食品以外が混在していても成形できる。これまで100種類ほどの廃棄物で実験を繰り返してきており、ノウハウも十分にたまってきたという。野菜の色をきれいに出したい、香りを強く残したいなど、最終的な製品で出したい特徴に沿って生産工程を組み、処理を施す。

 ここまでだと、よくあるアップサイクル商品の工程と思えるかもしれないが、fabulaの新素材の強みは、その「強度」にある。もともと町田氏が在学中にコンクリートを代替する素材を研究していたこともあり、その観点が盛り込まれている。

 fabulaが開発した技術で加工した白菜は、コンクリートの4倍の曲げ強度(素材を曲げようと力を加えたときに、折れずに耐えられる限界の力)を持つという。白菜以外の素材は混ぜていない。強度について、町田氏はこう話す。

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