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むやみな「THE MODEL」導入の落とし穴 失敗企業に共通する“犯人”とは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月19日 11時49分

 セールスフォースでは、キャリアプランとして職種を変更していく在り方や、職種間を超えた会議体での交流など、分業をまたぐ組織設計の工夫をしている。業務の閉塞感やキャリア毀損がないように考慮をしているのだ。

 しかし、むやみに分業体制だけを強制的に組織にインストールし、業務やキャリアの工夫ができていない企業においては、「なんでこんな分業をしているんだ」「THE MODELは悪なんじゃないか」と、不信感を醸成してしまう。

 2つ目に、分業は顧客の体験プロセスをぶつ切りにしてしまい、大きな取引の絵を描けないという欠点もある。

 例えば、フィールドセールス工程での提案内容が、カスタマーサクセス工程に引き継がれないというのはよくある話である。

 本来は、顧客と取引を開始する前のタイミングで、どのようなきっかけで自社と接点を持ち、どんな話し合いを行い、誰がこの取引をどうやって前に押し進めて、どういう着地で取引が決まったか。自社にはどのような期待をしていて、どんなサポートを求めているのか――といった情報は引き継がれたうえで、「連続性のある体験」として顧客を支援したい。

 しかし「売る役割(契約前)」と「支援する役割(契約後)」が分断されることで、これまでの話し合いがリセットされてしまう。「なんでこの契約を取ったんだろう」と分からないまま取引がスタートしてしまう。

 後の工程で「さて、どうして導入されたんでしょうか?」と聞き直すと、顧客は「君たちと話してきたことが引き継がれていないのか? これまでの打ち合わせはなんだったんだ」となる。

 3つ目に、THE MODELの分業によって、受注後に「支援する役割」は担えるが、「売る役割」は担う能力を失っていることがある。

 契約後の工程で、取引金額を大きく膨らませることができないというケースも発生している。より深く踏み込んだ提案をすれば取引金額を上げていけるような大きな会社との取引があったときでも、カスタマーサクセス担当が予算獲得のための営業的なアプローチ能力を失っているため、取引を現状維持で済ませてしまう、という現象である。

 THE MODELはインバウンドのリードを中心としたSMB企業への対応施策として練られたもの。職種を越境するような大手企業向けのイレギュラーなケースに対応できなくなってしまっているのだ。

●THE MODELを導入して失敗……犯人は?

 では、なぜこのような失敗が起きてしまっているのか。

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