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シェアサイクルはどう変わる? 高価格化と公益性に揺れるHELLO CYCLINGの葛藤

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月1日 15時19分

シェアサイクルはどう変わる? 高価格化と公益性に揺れるHELLO CYCLINGの葛藤

スポーツタイプの電動アシスト自転車「KUROAD Lite」

 NTTドコモが「ドコモ・バイクシェア」として事業化して始まったシェアサイクルの市場。2016年11月に「HELLO CYCLING(ハローサイクリング)」が参入し、7年間で全国に7800カ所のポート数を展開し、シェアトップを獲得した。地域の交通課題解決を図る「二次交通」事業者として、120自治体との連携を進めている。

 一方で物価高の影響を受け、ハローサイクリングもこれまで2度の値上げをしてきた。クロスバイク型の電動アシスト自転車や、原付タイプの電動サイクルを一部地域で投入し、時間あたりの単価の設定幅を設けることによって、高価格戦略も採っている。移動の快適性を求めるユーザーからは好評である一方、公共交通の一翼を担う立場としては葛藤もあるという。

 シェアサイクルは今後、社会でどんな位置付けになっていくのか。前編、中編に引き続き、ハローサイクリングの運営会社である、オープンストリートの工藤智彰社長に聞いた。(河嶌太郎、アイティメディア今野大一)

●「海外のノーブランド」と「国産車体」 どちらが収益を生む?

――ハローサイクリングでは、ヤマハ発動機やパナソニックの電動アシスト自転車をはじめ、他社に比べて自転車の品質の高さが特徴です。どういった狙いがあるのでしょうか。

 シェアで使うからには、コストを抑えてすぐに故障するよりは、一番スペックのいいものを長年にわたって回していく方がいいと考え、その方針を取りました。サービス開始から7年目になりますが、創業期の車体がまだ6割ぐらい稼働しているので、これは正解だったと思っています。

 都市部では、5年前に導入した車体が月に万円単位で収益を生み出しています。車体が十数万円の自転車だとして、1~2年程度で元が取れてしまうんです。一部には海外製のノーブランド車体を導入した地域もあるのですが、1年半後にはボロボロになってしまいました。一方ヤマハやパナソニックなどの国産車体は価格差を考慮しても、数万円程度の差に過ぎません。

――それで耐用年数が倍以上違うのであれば、顧客満足度の面でも国産ブランド自転車を取り入れたほうが合理的とも言えそうですね。

 ノーブランドの車体とヤマハの自転車が並んでいるポートがあって、2人一緒にそれぞれの車体を借りたユーザーさんがいたのですが「ちょっと俺の外れなんだけど」と言いながら走っていたんですよね。これが全てを物語っていて、電動アシスト自転車の中でも、ユーザーの満足度が高いのはヤマハやパナソニックの国産上位機種でしたね。

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