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なぜ「案内所+バス」にベッドを置いたの? 東海バスが宿泊施設を始めた背景

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月23日 6時15分

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バス案内所が宿泊施設に。どんなところ?

 えっ、そこに泊まるの?――。そう感じるホテルが、日本にもいくつかある。

 アラビア文化を体験できるところであったり、モンゴルの遊牧民が使っている「ゲル」に泊まれたり、自転車に乗ったままチェックインができたり。このほかにも、ユニークなホテルがあるが、またひとつエッジがたった宿泊施設が登場した。その名は「ばすてい」だ。

 小田急電鉄グループの傘下で路線バスを運行する東海自動車(以下:東海バス、静岡県伊東市)が運営していて、施設の特徴はバスの案内所を改装したこと。築74年の「宇久須(うぐす)案内所」を閉鎖するにあたって、「取り壊すのはもったいないよね。何か新しいことはできないかなあ」といった発想から生まれたものだ。

 「ばすてい」がオープンしたのは、2023年11月のこと。このスペース(床面積は71.9平方メートル)にどんなモノを追加すれば、宿泊施設として機能するかを議論して、同社の担当者は次のようなカタチに変更した。

 待合室だった場所は手をほとんど加えず、飲食ができるダイニングルームに。案内所のカウンターと事務所だったところに調理器具を備えたキッチンにしたことで、宿泊者は食材を持ち込んで調理を楽しめるようにした(事前に予約すれば、海の幸を盛り込んだ食材セットも可能)。また、倉庫として使っていた部屋をベッドルーム(ベッド2台)にして、浴室やトイレなどを設置した。

 「案内所に泊まれるようにしただけなのね。インパクトがちょっと足りないのでは?」などと思われたかもしれないが、実は案内所の横に路線バスを設置している。バスは1999年から2023年4月まで、実際に東海バスで走行していたもの。「通常、古くなった車両は廃車にするケースが多いのですが、案内所の隣にバスを停めることで、さまざまな体験を提供できるのではないかと考えました」(同社事業部の土屋咲季さん)

●「宿泊施設」決定まで

 かつて伊豆半島各地を走っていたバスは、当時のレトロカラーに塗装して、車両の中央から後方の座席を撤去し、3台のベッドを設置した。クラクションとライトは取り除いたものの、運転席に座ってハンドルや行先表示ボタンの操作を楽しめるようにした。

 「ばすてい」にスタッフは常駐していない。「宿泊の予約→チェックイン→チェックアウト」といった一連の手続きは、インターネットで完結する。予約時にカギの暗証番号とチェックインに必要なコードが届く、といった仕組みである。宿泊料金は1泊3万4000円からで、最大5人まで受け入れている(1日1組限定)。

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