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アプリ統合で反転攻勢 「楽天ペイ」の“現在地“は? ポイント経済圏の行方

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月23日 13時54分

●利用状況に基づいたポイントの強さ

 もう一つ、5大ポイント経済圏の数字を別の角度から見ておこう。前回の記事では各社が公表しているユーザー数(会員数)と年間発行ポイント数から、それぞれの共通ポイントの規模感を推察した。ただし、発行ポイント数はともかく、会員数は本当のユーザー数を表しているとはいえない。現在使っていなくても、ポイントカードを作ったことがある人は多いだろうし、場合によっては1人で何枚もカードを作っている場合もある。TポイントとVポイントの会員数合算で1億5500万人というのはそういう数字だ。

 では実際の利用状況に基づいたポイントの強さはどうか。それが分かるデータとして、野村総合研究所が2021年8月に1万人に対して行った調査を紹介する。Web調査ではなくサンプル抽出による訪問アンケートであり、信頼性も高い。

 それによると、「普段の買い物やサービス利用において、貯めているポイント(複数回答)」に対し、トップを取り続けているのは、実はTポイントだった。このところ、スマホ対応の遅れや、パートナーだったヤフーとの別離などから、ジリ貧と見られたTポイントだが、実のところは頭一つ抜けた共通ポイントの王者だったともいえる。

 単純なアクティブユーザー数だけではなく、積極的に貯めたり使ったりする熱心なロイヤルユーザーにおいてもTポイントは強い。同調査の中でロイヤルユーザーの数が最も多いのはTポイント。約半分のユーザーが「積極的に貯めて使う」と回答している。

 ただしロイヤルユーザーの比率が最も高いのは楽天ポイントだ。楽天ポイントユーザーのうち約4割が、非常に熱心に利用している。

●PayPayの牙城を崩せるのか

 このように2年前の段階では、Tポイントの強さはまだまだ健在だ。そしてTポイントは4月22日にVポイントと統合し、一気にデジタル化にかじを切った。

 現時点では、三井住友カードのVポイント基盤と、Tポイント基盤をID連携し、名称をVポイントに共通化した上で、残高も合算するにとどまる。しかし、今後「三井住友カードと協議しながら、新しいサービスを順次搭載していく」(CCCMKホールディングスの撫養宏紀氏)とし、例えば三井住友カードで決済すると、別途Vポイントカードを出さなくてもポイントが貯まる機能などを盛り込んでいく考えだ。

 従来のプラスチックのTポイントカードもそのまま利用できるが、新たにプラスチックのVポイントカードを発行する計画はない。「プラスチックからスマホに移行させたい。モバイルに登録しやすくなるようなカードを準備している」(撫養氏)

 リアル店舗の決済において楽天が本格攻勢、そしてTポイントはVポイントに名前を変え三井住友カードと一緒に反転攻勢に出る。ディフェンディングチャンピオンであるPayPayの牙城を崩せるかに注目だ。

(斎藤健二、金融・Fintechジャーナリスト)

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