生成AIで死者を“復活”させるビジネスは人を救うのか 指摘される懸念とは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月27日 6時20分
生成AIで死者を“復活”させるビジネス
最近日本で、中国発のこんなニュースが話題になった。
TBSの報道によると、「世界では今、インプットされたデータから文章や画像などを自動で作り出す『生成AI』の技術が急速に進化しています。こうした中、中国では『生成AI』を使って、亡くなった人を『復活』させるビジネスが登場し、論争を呼んでいます」という。
つまり、生成AIに死んだ人の画像や声などを学習させることで、亡くなった人と対話ができるというものだ。これは中国での話だが、実は世界では米国を中心にすでにこうしたサービスは始まっており、物議になっているケースもある。
TBSが報じた中国のサービスでは、亡くなった老人や、幼くして亡くなった子どもの動画を作って、家族にAIサービスを提供している。確かに、家族などを失った人が、亡くなった家族と擬似であってもやりとりできるなら、心を癒やす効果があるというのは理解できる。
同サービスは「スーパーブレイン」という会社が提供しているもので、何カ月も前から海外メディアでも取り上げられていた。フランスのテレビ局も2023年12月に報じており、こうしたデジタルクローンに注目が集まっていると紹介している。世界的に注目度が高いのは間違いないし、ビジネスチャンスも広がっているということだろう。
●亡くなった創業者の「スピーチ」を公開した例も
AI動画をめぐっては、こんな例もある。2024年3月、中国のAI関連企業であるセンスタイム(商湯集団)が年次総会を行った。その総会では、共同創業者の湯暁鴎氏がスピーチをしたのだが、実は湯氏は前年の12月に亡くなっており、スピーチは言語モデルの機械学習プログラムを使って作られた湯氏のデジタルクローンによるものだった。
現在、先に紹介した死者と対話できるサービスも、こうしたデジタルクローンも同様に、生成AIで動画を作るのは技術的にも非常に簡単だ。筆者も先日、オンライン上の詐欺広告について取材をしていた際に、自分が話している動画を使って、AIで自分の顔を別人に変えてみたところ、あっという間にできてしまった。今では、動画の顔を入れ替えてしまう生成AIのサービスや、音声サンプルからAIで人の声を再現できてしまうサービスがインターネットですぐに見つかる。
こうしたデジタルクローンは、「ディープフェイク」という言葉でも知られている。そもそも、AIを使って人の顔を動画に埋め込む技術は2017年に米国で初めて問題視され、当時からディープフェイクと名付けられて注目されてきた。当時、「ディープフェイク」という名のネットユーザーがAIを使ってセレブの顔をポルノ動画にはめ込み米人気オンライン掲示板で公開したことで、大きな問題になり、論争になってきた。
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