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MUFG傘下入りでつかんだシナジーとは? フィンテックベンチャーに聞く

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月27日 8時0分

八巻: まず、マイナス金利の解除がいずれ起きるという背景もあり、いま銀行自体が大きく変わりつつあります。すでに新規口座数は、ネット銀行がリアル銀行を超える状況になっているなど、さまざまな要因からメガバンクも危機感を感じており、新たな収益モデルを見いだす戦略を描いています。そうした環境下で、スタートアップと一緒にやっていきたいという思いを強く持っていらっしゃったところ、ちょうど私たちがマッチしたのではないかなと思います。

及川: MUFGにグループインすることで、ガバナンスの強化が必要であるなど、御社の環境の変化はありますか。

八巻: ガバナンスやセキュリティ関係は相応のレベルを求められますが、クリティカルなものかというとそうではなさそうです。今後の懸念点としては、銀行のグループ会社の場合、新規事業を始めるときは一定の手続きが必要であるため、リードタイムが長くなる可能性があるという点でしょうか。

●1年かけて「仲良くなる」ことに注力

及川: MUFGへのグループ入りから1年経ちますが、どのようなことをやってきましたか。

八巻: 仲良くなる時期でしたね(笑)。まずやったことは、超大企業の力学を学ぶことでした。例えば、今まで大企業のカード会社とやりとりすることは多かったのでなんとなくの大企業の力学は分かっていたつもりだったのですが、三菱は関係する人や部署の数がその比じゃなく。感覚的には5倍から10倍の人とやりとりしている気がします。もちろんプロジェクトにもよるのですが、見ている観点が膨大で、その観点をインストールするのに時間がかかりました。なお非常に優秀な人ばかりなのでそれで問題になることは少ないのですが、思考の幅は求められている気がします。

及川: 仲良くなることも非常に重要な仕事なのですね。

八巻: そうなんです。ちょうど次期中期経営計画を練っているタイミングで、この1年で何かをやるというのが私たちにとっても難しい時期でもあったため、仲良くなることにリソースを割きました。

及川: 社内の状況の把握と、タイミングを見計らう1年だったと。では今年度から動いていくということですね。

八巻: そうですね。予算が付いたものは動きやすくなりましたし、準備もできました。私も隔週で三菱に顔を出しています。

及川: 資本関係があるからできるようになったこともあるのではないですか。

八巻: 確かにそれもあります。直近では当社も事業の多角化を目指して、買い手側としてM&Aも検討しているため、三菱からは「今後、カンムがM&Aしたい会社はあるか」と聞いていただくなど、銀行業ならではのM&A支援もしていただけそうです。当社としても、自社のキャッシュもありますが、三菱の戦略を助けられるようなM&Aを設計して、買わせていただくということはやっていけたらと思っています。

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