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「キャンプブーム」は終わった アウトドア業界はどの市場に“種”をまけばいいのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月31日 7時30分

「キャンプブーム」は終わった アウトドア業界はどの市場に“種”をまけばいいのか

キャンプブームが去って、アウトドア業界はどうする?

 次の「金脈」はどこにあるのか、と悩んでいる業界関係者も多いのではないか。

 日本経済新聞の記事「キャンプブーム終焉 ワークマンは『男子』に回帰」(7月28日付)によれば、「#ワークマン女子」などに力を入れていたワークマンがキャンプ需要が落ち着いたことを受けて、「男性カジュアル衣料」に力を入れるように方針転換をするという。

 また、アウトドアメーカー大手のスノーピークもキャンプブーム終焉(しゅうえん)が影響して、2023年12月期決算の純利益は99.9%減の100万円にとどまったことが大きな話題になった。今期は米国や中国などの海外出店を強化する予定で、この夏には米国初の直営キャンプ場をオープンした。

 ただ、15年来のキャンプ愛好家の立場から言わせていただくと、今の「キャンプ需要の落ち込み」は自業自得というか、ハナから分かりきっていたことではないか、という気もしている。

 基本的にキャンプ・アウトドア用品は、一般的な製造小売ビジネスの成功モデルである「大量生産・大量消費」がハマりにくい。「買い替え」をそれほどしないからだ。

 筆者もコンテナを借りて収容しなくてはいけないほどキャンプ用品を所有しているが、そのほとんどが5年、10年と愛用しているものだ。手入れをすれば長持ちするし愛着もわくので、近年はほとんど新しいグッズを買っていない。

 そんな「買い替えがあまり必要ない商品」が販路を拡大して、巨大商業施設のテナントやスポーツ用品店でナイキやアディダスと並んで売られるようになればどうなるか。

 当初はブームもあってよく売れるだろう。しかし、ある程度消費者に行き届けば需要が落ち着いていくのは当然である。

●アウトドア業界が取るべき成長戦略とは

 では、キャンプ需要が落ち着いてしまった今、アウトドア業界はどうすればいいのか。何年か先、次のキャンプブームが訪れるまでじっと待つという手もあるが、今のうちに新しい分野に「種」を蒔(ま)いておくという「攻めの成長戦略」もある。

 実はアウトドア業界には、本人たちも気付いていない、すさまじいポテンシャルのあるブルーオーシャンが広がっているのだ。

 それは「防災キャンプ」である。

 ご存じない方もいらっしゃるだろうが、防災キャンプとは、災害時に必要なスキルや知識を、キャンプを通じて身に付けようという体験活動である。

 これはもともと東日本大震災後の2012年、文部科学省が防災教育プログラムの一環として予算をつけた「防災キャンプ推進事業」が始まりだ。学校の体育館などに泊まり込んだ子どもや保護者、地域住民が避難生活の疑似体験をするというもので、それが事業終了後も一部の自治体などで定着して続けられていた。

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