「フロンクス」インドからスゴいクルマがやってきた
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月19日 15時5分
余談だが、スズキは日本仕様には装備満載状態の車両を入れており、本国インドの最重量車よりも重い。本国での最軽量モデルはなんと965キロである。価格はまだ発表されていないが、スズキのことなので戦略的価格を付けてくるだろう。同一装備の競合比で価格もリードするはずだ。
筆者にしては珍しくスペックの話から入ったのだが、一番言いたかったことは、その軽量ボディのアドバンテージである。スズキは7月11日に「技術戦略説明会」を開催し、スズキの行動理念として、「小・少・軽・短・美」を打ち出した。「小さく」「少なく」「軽く」「短く」「美しく」だ。長らく「どケチ」を売りにしてきたスズキがその本当の意味を公に発表した。それが口だけでないことが、今回、フロンクスのスペックによって明確に証明された形である。
●見栄えより現実のタイヤサイズ選び
さて、フロンクスが軽いことは分かった。しかし軽さが飛び抜けていたとして、走ってどうなのか。そこがダメなら意味がない。
実は6月10日に、スズキはこのフロンクスのプロトタイプ試乗会を伊豆のサイクルスポーツセンターで開催した。一応プロトタイプということになっているものの、インドではすでに2023年4月から販売が開始されている。そういう意味ではクルマの基本部分については生産プロトとかではなく、紛れもなく量産モデルであるといえるだろう。日本仕様の装備品組み合わせに関してはプロトタイプということだ。
さて、以下試乗記に入るが、一つ断っておくべきことがある。サイクルスポーツセンターは本来自転車用のコースなので、段差が徹底して排除されており、乗り心地では有利な評価になりがちである。それから試乗当日の路面はウェット状態から始まって、後半がセミドライという環境。これも完全にドライな路面でどうなのかは、ちょっと別に考える必要があるかもしれない。そのあたりは今秋の発売時期に改めて公道試乗会が開催されると思われるので、そこで再度チェックしたいと思う。
フロンクスについて最初に語るべきは従来のスズキのイメージを大きく越えたスタイルだろう。SUVらしく、4つのタイヤを存在感の強い大型のフェンダーで囲い、四肢を踏ん張った安定感のある力強いロワーボディを構築している。これはSUVのセオリー通りである。その上にヘッドランプ(厳密にはポジションランプとウィンカー)の薄い層を重ねて二段重ねの造形になっている。造形は最近のシトロエンと同じで、そのせいもあって、欧州車を彷彿(ほうふつ)とさせるデザインになっている。なかなかにカッコいい。
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