「フロンクス」インドからスゴいクルマがやってきた
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月19日 15時5分
ちなみにタイヤサイズは昨今のコンパクトSUVとしては小さい16インチ(195/60R16)を採用。そこは見栄えより現実を取ったスズキらしい選択で、前輪の大きな最大切れ角を確保し、コンパクトな車体と相まって最小回転半径4.8メートルの小回り性能を実現している。またフロンクスには四駆モデルもあるが、このタイヤサイズなら雪国で、スタッドレスタイヤとホイールも安価に入手できるほか、タイヤのリプレイスでもコストを抑えられる。
小径タイヤをデザインでうまく処理して16インチでもあまり寂しい感じに見えないのは、デザインの勝利だと思う。
インドマーケットの要望から、4人が広々と使える室内を確保しながら、ひとりで乗る時にはスタイリッシュなクーペデザインを実現すべく、パッケージを煮詰めたという。実際リヤシートに座ってみると、膝前の空間はこのクラスとしては望外に広々している。ただし頭上については十分ではあるものの、膝前ほどの余裕感は感じられない。
インドの税制に合わせて全長の短いボディで、後席空間優先のパッケージを採った結果、ラゲッジスペースは小さ目である。乗車人数によっては、6:4分割で可倒式のリヤシートはそれなりのアレンジ幅を持っている。ただしリヤシートの座面は引き起こし式ではないため、フルフラットにはならない。
フロントシートの出来は昨今のスズキの例に漏れず座面の面圧分布がよくできている。シートのデザインもこのクラスに珍しいシックなテイストながら、「ただただ地味」に陥ることのないセンスを発揮しており、なかなかの華やかさと高級感がある。「シックな色使いとダサい造形」がセットになると目も当てられないが、そうなっていない。インテリアも全般にエクステリアに負けない高級感を備えている。もちろんコストの限界はあるので、あくまでもコンパクトクラスの水準においての話だが。
●走りはどうなのか
走り出すと、車両に軽快感がある。これは車体の軽さがもたらすものだが、ではボディ剛性が頼りないかといえば、そこはそれなり以上にしっかりしている。ただし軽さがもたらす印象のせいもあって、ガチガチに硬いという感じではない。
アクセルを踏み込むと、エンジンもかなり軽快なタイプで、それなりに元気なサウンドを伴って回っていく。回り方が楽しい。ステアリングコラム周りの剛性も不足は感じない。
アクセルをワイドオープンにすると元気な音なのだが、足回り、特にホイールハウス付近からのNVHはキレイに抑え込まれており、試しにアクセルを緩めると、静音性の高さは特筆すべきレベルにある。おそらくこのクラスで最も静かなクルマである。突き上げなども上手にいなして、乗り心地はなかなかにマイルド。すでにこの時点で全体的に好印象である。
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