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「セクハラ被害で起業を諦める」論争、問題点はどこか? 深刻な二次被害も

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月15日 7時20分

 にもかかわらず、今般の議論においてセクハラ加害者には何ら言及されないばかりか、なぜ告発者側が「経営者の気概が足りない!」などと批判されなければならないのだろうか。このような事態がまかり通っているがゆえに、元報道にあったような「黙っておいたほうがいい」といった風潮になるのではないか。

 先般も、ベンチャー企業取締役による「ベンチャーにいるなら盆やGWに休むな」「定時に帰るな」といった言説が炎上したばかりだが、経営者としての覚悟を誇示したいのなら自分だけでやればよかろう。セクハラ被害者を引き合いに出したり、経営者とは立場が違う一般社員を同列に語ったりする必要など皆無なはずである。

 この種の「自分は乗り越えられたのだから、これに耐えられないなら一人前ではない」といった考えが、わが国に長らくブラック企業を蔓延(はびこ)らせてきたと言ってもよい。この種の論説は、もう終わらせなければならない。

 さらに、冒頭の経営者のSNS投稿を擁護する意見の中には「自分の会社が危機に瀕して投資が必要なら、セクハラぐらい受け入れる」「セクハラされる程度で投資してもらえるなら楽なもの」といった主旨のものも散見されたのだが、実にくだらない考えといえよう。

 そういった意見を持つ人たちはおおむね男性であるがゆえに、言葉の端々に「セクハラぐらい」といった考えが透けて見えるのだが、一寸立ち止まって考えてみるべきだ。自分より遥かに大きな、筋骨隆々の男性が性欲を見せながら迫ってきて、身の危険を感じても、「セクハラくらいかわいいもの」と受け流せるというのだろうか。そんなハードシングスなど不要だし、本来あってはならないものだ。

 そもそもセクハラ加害者がいなくなりさえすれば、本来何の問題もないのである。それを経営者の資質であるとか、ハードシングスなどと混合している時点で、セクハラを容認しているのと同様といえよう。

●大前提として、セクハラの何がダメなのか?

 職場におけるセクハラとは、次のように定義される。

職場においておこなわれる、労働者の意に反する性的な言動により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されること。

 では「労働者の意に反する性的な言動」とは具体的に何を指すのか。実際は多岐にわたるが、令和5年度厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、職場でセクハラを受けたと回答した人のセクハラ内容としては「性的な冗談やからかい」「不必要な身体への接触」「食事やデートへの執拗な誘い」が回答上位を占めた。

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