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「セクハラ被害で起業を諦める」論争、問題点はどこか? 深刻な二次被害も

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月15日 7時20分

・債務不履行責任(民法415条):会社は従業員に対して、働きやすい職場環境を整備する義務(職場環境配慮義務)があるため、セクハラが発生すると、会社はこの義務に違反したとされ、被害者は会社に対して債務不履行責任として損害賠償請求が可能となる。

・使用者責任(民法715条):会社は、従業員が第三者に損害を与えた場合、使用者責任として損害賠償の責任を負うこととなっている。

・行政責任(男女雇用機会均等法):男女雇用機会均等法に則り、会社が労働局から助言、指導、勧告といった行政指導を受ける可能性がある。

 さらにセクハラ加害者は、刑事責任と懲戒リスクを負うことにもなる。

・刑事責任:セクハラの態様が悪質な場合、加害内容に応じて「強要罪」(刑法223条)、「名誉毀損罪」(刑法230条)、「侮辱罪」(刑法231条)、そして「強制わいせつ罪」(刑法176条)や「強制性交等罪」(刑法177条)などが成立し、刑事罰を受ける可能性がある。

・懲戒リスク:ハラスメント加害者として、就業規則に則って戒告、譴責、訓告、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇などの懲戒処分を受ける可能性がある。少なくとも、組織内で居場所を失うことになりかねない。

 法的なリスク以外にも、企業活動にネガティブインパクトを与えるリスクは多々ある。

・職場環境悪化リスク:従業員がセクハラ行為を直接受けることによる被害が甚大なのはもちろんだが、周囲のメンバーがセクハラ行為を目の当たりにしたり、組織上層部が事態を解決しようとしなかったりすれば、メンバーは組織のコンプライアンス意識の低さや自浄作用のなさに愛想を尽かし、モチベーションは当然低下する。必然的に作業ミスが増え、生産性も低下、鬱病罹患者や休職者、退職者も増加し、業績にも大きなネガティブインパクトを与えることになるだろう。

・レピュテーション(評判)リスク:セクハラが行政指導や社名公開、訴訟、マスコミ報道などへと発展した場合は、SNSや会社口コミサイトなどを通して「あの会社、セクハラが横行するブラック企業らしい」とのネガティブな情報が急速に拡散する。結果として「炎上」や「風評被害」などのレピュテーションリスクに直結し、求人募集や取引先拡大に悪影響を及ぼす。最悪の場合、現行の取引先からも「コンプライアンス体制が整備されていない未熟な会社」と評価され、取引が打ち切られることにもなり得る。

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