1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「セクハラ被害で起業を諦める」論争、問題点はどこか? 深刻な二次被害も

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月15日 7時20分

 ネットが発達した昨今においては、とくにレピュテーションリスクによる企業の社会的イメージ悪化は取り返しのつかない事態となるだろう。特に普段、対外的に「ダイバーシティ」「健康経営」「SDGs」などと、聞こえの良いトレンドワードを掲げている会社こそ受ける反動は大きい。そもそもセクハラを発生させないよう、日々の地道な取組が求められるのだ。

●セクハラに特徴的な「二次被害」の存在

 本来セクハラは「他者を不快にさせる性的な言動」という加害行為に焦点を置いて定義されるものだ。しかし世間一般では「本人が不快に感じなければ/本人が被害を申し出なければ許される」といった解釈にすり替わって浸透している傾向もみられる。

 それにより、実際に会食の場で腰に手を回されて不快だと感じたとしても、「〇〇さん別に嫌ではないよね?」と軽い同意を求めることがセクハラを正当化することにつながっているとの被害者証言も存在する。

 セクハラにおいては「それくらい我慢したらいい」といった被害者側に忍耐を要求するような議論ではなく、「そもそも絶対的に許されない」という、加害者側の責任を問う議論を展開するべきであろう。

 さらに、男性側が無頓着になりやすい論点として「ポスト・セクハラ問題」もしくは「セカハラ問題」という二次被害の存在がある。具体的には、セクハラ被害を訴えたり、社内で相談したりした被害者に対して、さらに次のような二次被害が実際に存在し、被害者の精神的ダメージがさらに増幅する事態が発生しているのだ。

・「露出度の高い格好をしているほうが悪い」「自分から誘ったのではないか」「セクハラされるほうにも問題がある」「その場できちんと断れば何もなかったはず」など、被害者なのに責められる

・「あの人がそんなことをするはずがない」「証拠がない」など、被害があったこと自体を信じてもらえない

・「上司に内密に相談したのに、後日社内全員がセクハラ被害のことを知っていた」「セクハラ被害が知れ渡り、社内で好奇の目で見られるようになった」といったプライバシー侵害

・「被害者なのに自分だけ異動させられた」「加害者である上司にセクハラ通報が知られ、評価を下げられた」といった報復人事

・「あまり大きな声でセクハラ被害を訴えないほうがいい」「セクハラで辞めたなんて言わない方がいい」といった口封じ的アドバイス

 これらはいずれも、被害者が意を決して、また相手を信頼してセクハラ被害を相談したにもかかわらず、当の相談相手がセクハラを軽視し、もしくは「臭いものに蓋をする」かのような対応を取ったことによる「セカンドハラスメント」であり、プライバシー侵害や個人情報漏洩、報復人事に至ってはさらなる不法行為にも該当する重大な権利侵害である。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください