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郊外にあったホームセンターが、なぜ「大都市の駅前」に出店しているのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月2日 6時10分

 このように「ガーデニング」「ライフスタイル」を全面に打ち出した「おしゃれ店舗」で大都市に進出する動きは、実は他のホームセンターでも近年よく見られる。その代表は2022年11月、恵比寿ガーデンプレイスにオープンした「DCM DIY place」である。

●「DCM DIY place」とは

 DCM DIY placeは、カインズやコーナンとしのぎを削る大手ホームセンターDCMの新業態だ。都市部で暮らす人々の住まいにまつわる悩みの解決や、ライフスタイルに合ったDIYのアイデア・商品の提案をコンセプトとし、それらを実際に店舗で試せる「体験型店舗」となる。DCM初の「DIYコンシェルジュ」もある。

 さて、そこで次に気になるのは「なぜ?」ということではないか。ホームセンター3強はなぜ装いを「おしゃれ」に変えて、続々と都市部へと乗り込んでいるのか。

 それはミもフタもない言い方をすると「生き残るため」である。

 このまま既存の郊外型ホームセンターを続けてもジリ貧となり、業界再編の波に飲み込まれてしまうのは時間の問題だからだ。

 まず、ホームセンターの主戦場である日本全国の郊外ロードサイド、農村部が急速に人口を減らしていることは説明の必要がないだろう。「消滅可能性自治体」なんて言葉が注目を集めたように、今の日本で最も人口ボリュームのある第一次ベビーブーム世代(現在74~76歳)が亡くなり始める10年後あたりから、地方の衰退は加速していく。そこで厳しい自然淘汰(とうた)にさらされるのが郊外型ホームセンターである。

 なぜかというと、実はこの業態は深刻な「店舗過剰」に陥っているからだ。コーナンやDCMなどのホームセンター企業が理事を務める日本DIY・ホームセンター協会のデータによれば、この業界の売上高は2000年代に入ってからほぼ横ばいだ。コロナ禍の2020年だけは「ステイホーム」で一気に跳ね上がったが、それ以外はだいたい3兆9000億から4兆円あたりで推移している。つまり、「頭打ち」だ。

 しかし、プレーヤーは右肩上がりで増えている。1975年から2000年の間、ホームセンターの数は年間約100~200店のペースで増え続け、それ以降もじわじわと増えて2008年に4000店舗を突破、2023年には4970店舗にも到達しているのだ。

●人口減の日本でホームセンターが生き残る道は

 つまり、人口が急速に減っているのだから本来は売り上げが落ちるはず。が、そうなっていないのは店舗を増やすことで、どうにか持ちこたえさせているという見方もできるのだ。ただ、人口減少が著しい地方ではこのスキームももはや限界なので「新客」を獲得せざるを得なくなった。人口減少のこの国で唯一、新客が取れそうな場所といえば東京や大阪という「大都市」しかないではないか。

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