早期リタイアしたい「20~30代男性」が増えている なぜか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月28日 6時5分
では、このような早期リタイア希望は、いわゆる「Z世代」のように、若い世代に特徴的な価値観の表れなのだろうか。20代男性就業者には学生アルバイトも含まれるため、学生アルバイトと社会人を分けて分析した。すると、学生アルバイトの平均リタイア希望年齢は2024年時点で66歳と高齢であり、経年変化もみられない(図表2)。一方、社会人では57歳と、学生と比べて約10歳若返る。
このことから、若手男性が学生の時から早期リタイアを希望しているわけではなく、学生から社会人になりさまざまな経験をした後、何らかの意識変化が起こり、早期リタイアを希望するようになることがうかがえる。若い世代が固定的に持っている価値観というよりは、社会人になった後の意識変化である。そして、そのような意識変化をする若手男性が年々増えている。
●早期リタイアしたい理由
なぜ近年、若手男性就業者の早期リタイア希望者が増加しているのだろうか。その理由を探るため、早期リタイア希望者(20代では50歳以下、30代では55歳以下のリタイア希望者)の、その年齢でリタイアしたい理由を確認した。
図表3を見ると、理由としては「働くことが好きではないから」が約3割と突出して多い。そして「家族や友人との時間や趣味などプライベートな生活を充実させたいから」「趣味などに充てる資金を得たいから」が続く。単純に働きたくない、あるいはプライベートや趣味を充実させたいというのが、主な理由のようだ。一方、「リタイア後の生活のための蓄えが十分あるから」という回答も15%程度と比較的多かった。収入や貯蓄を考慮して答えている人も一定数いることが分かる。
さらに、早期リタイア希望の理由にも経年変化がみられた。2020年から4年間の変化を見ると、主な理由である「働くことが好きではないから」「家族や友人との時間や趣味などプライベートな生活を充実させたいから」は、20代男性、30代男性ともに10ポイント程度減少した。つまり、2020年には早期リタイア希望者の4割が、「働くことは好きではないから」と答えていたが2024年には3割に減少したということになる。一方、「リタイア後の生活のための蓄えが十分あるから」は5ポイント程度増加した。
早期リタイア希望の理由として、従来多かった「仕事に対する消極的な姿勢」が減っており「収入・貯蓄を考慮した計画的な姿勢」が増えているのも大きな変化だと考えられる。
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