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早期リタイアしたい「20~30代男性」が増えている なぜか?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月28日 6時5分

●早期リタイア希望者が増加する背景

 このように計画的な早期リタイア希望が増加している背景には、近年アメリカ発のFIRE(Financial Independence, Retire Early、経済的自立と早期リタイア)に代表されるように、資産運用や節約、副業などのさまざまな手段で、早期リタイアを計画する活動が注目されていることがあると考えられる。

 また、近年、NISAやiDeCo、不動産運用などの資産運用がブームとなり、コロナ禍前に比べ20~30代の若い世代を中心に資産運用を始める人が増加した(※2)。コロナ禍による株価の割安感の影響で、2024年にかけて利益が出やすい状況にあったことも拍車を掛けた。

(※2)金融広報中央委員会(2016、2019、2022)「金融リテラシー調査」(2024年8月6日アクセス)によれば、18~29歳で過去に1カ月の生活費を超える金額のお金を運用した人の割合は、2016年の11.6%から2022には20.2%に増加した。

 他に、共働き・共育て化や婚姻率の低下も影響している可能性がある。第1子出産前後の妻の就業継続率が、2015~19年に出産した妻では約7割となり、5年前の5割台から大幅に増加した(※3)。妻と夫のダブルインカムの家庭はますます増加し、夫婦とも高収入のいわゆる「パワーカップル」に代表されるように、男性ばかりが一手に家計を支える状況が減った。また、独身者は一般的に子あり世帯に比べれば支出が少ない。このように、十分な世帯収入を元手に資産を増やせば、男性ばかりが高齢まで働き続ける必要はないと考える若手男性が増えている可能性がある。

(※3)国立社会保障・人口問題研究所(2021)「第6回出生動向基本調査」(2024年8月6日アクセス)

 他方で、働くことが好きではない、プライベートを充実させたい、といった理由も依然多くを占めており、計画的にではなく仕事への消極的姿勢から早期リタイアを望む若手男性も増えている。そもそも、早期リタイアを計画する背景には、働くことに生きがいを感じられないといった心理もありそうだ。

 また、若手女性では早期リタイア希望者は横ばいだが、2017~24年の8年で労働市場における女性活躍が進んだことを考えると、若手女性の早期リタイア希望者が減っていてもおかしくない。

 実は、女性活躍に相殺されて表面上横ばいになっているだけで、男女問わず若手就業者全体に、漠然とした早期リタイア希望が増えている可能性がある。実際、調査データを見ると、若手女性の早期リタイア希望の理由として、「子育て・子どもの養育費がかかるから」「働くことが一般的な年齢だから」などが減少している(図表5)。

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