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早期リタイアしたい「20~30代男性」が増えている なぜか?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月28日 6時5分

(※6)ワーク・エンゲージメントとは、仕事に誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て、いきいきとしている状態を表す。ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(UWES)3項目版を一部改変して使用。

 早期リタイア希望者の増加が示すのは、若手就業者の現在の就労意欲の低下というよりも、さまざまな社会環境の変化による長期的なキャリアの展望の変化だと考えられる。しかし、この傾向が続けば、将来的には少子高齢化社会における労働力確保や国内消費への影響が懸念されるため、今後も動向を注視する必要があると考えられる。

●まとめ

 本コラムでは、若手就業者の「早期リタイア希望」の高まりについて、「働く10,000人の就業・成長定点調査」 のデータから、その実態と要因を考察した。本コラムのポイントは以下の通りである。

・20~30代男性就業者の早期リタイア希望者は、2017年から年々増加し2024年には約3割に。若手女性就業者は横ばいの傾向であり、2024年に男女差がほとんどなくなった

・20~30代男性の早期リタイア希望の理由は、「働くことが好きではないから」が最も多いが、「リタイア後の生活のための蓄えが十分あるから」も15%あり、近年増加している。このような計画的な早期リタイア希望者が増える要因として、FIREや資産運用がブームになっていること、ダブルインカムの家庭や独身者が増加していることなどが考えられる

・20~30代女性についても、女性活躍の影響をさし引くと、漠然とした早期リタイア希望者が潜在的に増加しており、男女問わず、若手に早期リタイアを望む心理が拡大していることが示唆される。近年の社会環境の変化により、若手にプライベート重視の価値観が広がっていることや、長期的キャリアを描きにくいこと、現状のシニア活躍への反発等が影響している可能性がある

 本コラムが若手就業者の動向を把握するための一助になれば幸いである。

著者プロフィール:小林 祐児

パーソル総合研究所シンクタンク本部上席主任研究員。NHK 放送文化研究所に勤務後、総合マーケティングリサーチファームを経て、2015年入社。労働・組織・雇用に関する多様なテーマについて調査・研究を行っている。専門分野は人的資源管理論・理論社会学。新著『リスキリングは経営課題』では、従来の発想を乗り越えるべきという提案にはじまり、リスキリングを現実的に進めるための仕掛けや仕組み、方向性について、各種データをもとに論じている。

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