「失われた25年」今こそ直視すべきその根源理由 必要なのは「働き方改革」ではない
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月14日 9時0分
トヨタ生産方式に代表されるカイゼン文化によって、生産性を高め、現在に至るまで日本企業を支えている「ブルーカラー社員の現場力」に対し、日本のホワイトカラー社員は「グレーゾーン業務」、つまり顧客価値にあまり影響がない社内業務や調整業務に多くの時間を費やしている。
「ホワイトカラーの生産性が低い」という一般的な認識だけはあるが、「なぜ低いのか」を本質的に考えてこなかったし、「ではどうしたらよいのか」についても、多くの経営者や有識者、学者、政府、マスコミは明快な解を提示してこなかった。
いくら長時間、熱心に働いたところで、それが顧客価値につながっていないのであれば、生産性が低いのも当然である。
ではその間、諸外国はどうしていたのかというと、日本とは異なりホワイトカラーがグレーゾーン業務にいそしむことを許されなかったため、結果として生産性を高め続けてきた。自社のホワイトカラー社員たちの共同作業に「デジタルな自働機械」というゲタを履かせ、全体最適を実現して、より効率よくアウトプットを出すという組織能力を、25年かけて、徐々に高めてきたのだ。
日本の企業リーダーが好んで口にする「現場力重視」「人中心」は、デジタル化が進んだ21世紀のホワイトカラー業務においては「マネジメント不在」とほぼ同義になり得る。ボトムアップな「ヒトの現場力」とトップダウンの「全体最適の追求」、両方の合せ技が必須な時代なのだ。ホワイトカラー社員たち個々人がサボっているわけではない。経営者が働かせ方を間違っているのである。民間企業だけでなく、政府・自治体・学校などの組織も状況はまったく同じだ。
組織のリーダーたるあなたは、このことをはっきりと認識しなくてはならない。そしてあなたの部下たちのために、あなたの責任を果たさなければならない。
現場で真面目に、懸命に働いているホワイトカラー社員たちは、自ら「この作業はやめましょう」と言うわけにはいかない。「やめてよい」「全体視点・顧客視点で変えていこう」と言えるのは、その組織の責任者だけなのだ。
なぜ、ブルーカラーの現場ではうまく行ったカイゼンが、ホワイトカラーではうまくいかないのか? それは、ブルーカラーとホワイトカラーは、仕事の性質が根源的に違うからだ。ブルーカラーは主に「一定の品質の・多数の・モノ」を扱う職種であるのに対し、ホワイトカラーは主に「できるだけ有用な・一つの・情報」を扱う職種であって、そのアウトプットの出し方も違う。
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