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「失われた25年」今こそ直視すべきその根源理由 必要なのは「働き方改革」ではない

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月14日 9時0分

 従ってブルーカラーに有効だった方法論、例えば現場主導のカイゼンをホワイトカラーにそのまま当てはめても、成果が出るとは限らないのである。この点については、連載第4回で詳しく解説する。

 なお、本連載においては「ブルーカラー」と「ホワイトカラー」は単なる職種の違いであり、どちらかが上/下だという見方は一切していないことを念のため付記しておきたい。

●トヨタ生産方式の本質は「人間性の尊重」

 トヨタの工長からたたき上げ、副社長にまでなった大野耐一氏が記した名著『トヨタ生産方式~脱規模の経営をめざして』は、1978年に出版されて以来、トヨタの、さらには高度成長期における日本製造業の成功の原動力とされ、世界中の注目を集めてきた。

 「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」を2本柱とするトヨタ生産方式を研究し、それをさらに発展させた「リーン生産方式」(ムリ・ムラ・ムダのない生産現場をつくる手法)も世界中で取り入れられている。

 トヨタ自動車の社長を14年務め、2023年に会長に就任した豊田章男氏も、トヨタの自社メディア「トヨタイムズ」にて以下のように述べている。

 トヨタ生産方式の2本柱は「ジャスト・イン・タイム」とニンベンのついた「自働化」。「自働化」は、まさに「人のために」。「人間尊重」ということ。〈中略〉

 もう一つの柱は「ジャスト・イン・タイム」。ジャスト・イン・タイムを詰めていくということを言い換えれば、リードタイムを究極に短くしていくとゼロになるということ。その仕事自体が必要なくなれば、一番のジャスト・イン・タイム。

 ただ、ゼロにはならない可能性があります。だけど、手待ちとか手戻りは省こうよと。ゼロになれば、その仕事はやめて、他の仕事をすればいい。そこまで続けるということ。

「トヨタ春交渉2021 #3 『トヨタ生産方式』『カーボンニュートラル』『SDGs』一人ひとりに何ができるか」より引用

 大野耐一氏と豊田章男氏に共通するのは、「トヨタ生産方式の根幹は人間性の尊重である」という理念である。

 実のところ、トヨタ生産方式は決して労働者に優しい(甘い)仕組みではない。むしろ、非常に厳しい考え方である。ただでさえ、機械化された生産ラインでは“機械的”な、つまり非人間的な動き方を余儀なくされる。「標準作業手順」と「タクトタイム」が設定され、同じ作業を最小限の動作でこなすことによって、品質を維持しつつ作業時間の短縮を目指すことになる。

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