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なぜ「ライス残し」で炎上したのか? 家系ラーメン店が抱える深いジレンマ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月23日 6時10分

なぜ「ライス残し」で炎上したのか? 家系ラーメン店が抱える深いジレンマ

ラーメン店主によるSNSのコメントが炎上

「今、米残して帰った女子2人 見てたらdmください」

 先日、埼玉県三郷市にある横浜家系ラーメン店がSNSに投稿した、この一文が炎上した。

 この店ではラーメンの注文を受けた際に、希望者に無料でライスを提供しているのだが、女性客2人がライスを希望したのにそのまま帰ってしまったことに対して、店主が投稿したものだ。

 無料ライスを注文した客は、残す場合は体調不良などちゃんと理由を申告する“ルール”があるそうだが、女性客2人はなんの断りもなく退店してしまったため、SNSに投稿したという。

 「お米一粒に7人の神様」「お米を残すと目が潰れる」と幼い頃からしつけられる日本人からすれば、食べ物を粗末にするのは「大罪」だ。多くの人が店主の言動を称賛・支持した……かと思いきや、意外にも多かったのは「怖すぎる」「残す時に一言言わなきゃいけない飲食店を初めて見た」など否定的な意見だった。

 実は横浜家系ラーメンが「ライス残し」で激怒したのは、これが初めてではないのだ。

 2023年12月、千葉県習志野市の横浜家系ラーメンの店主が、ほとんど食べ残したごはんと漬物が入った茶碗の写真とともに「死んでください本当に そそくさと逃げるように帰るなよ 自分でよそってんだぞ 二度と来るなゴミクズが」と書いた投稿が炎上。こちらも「怒るのは分かるけれど、言い方が悪すぎる」という否定的な声が多く寄せられたのである。

 さて、このような話を聞くと、「なぜ家系ラーメンの店主は無料ライスでそんなにキレるのか?」と首をかしげる人も多いのではないか。

●なぜ店側はここまで怒ったのか

 精魂込めてつくったラーメンがほんの少ししか手を付けられなかったのでキレた、という話ならば、「職人的なこだわりが強いのかな」とある程度は理解できるだろうが、こちらは「無料サービス」だ。

 あくまで店側が「客足を伸ばす」という販促目的でやっていることなので本来、来店に結び付いてラーメンを注文した時点で目的は終わっているはずだ。

 「食」にかかわる人間として、食べ物を粗末にする輩が許せないのもあるのかもしれない。だが、飲食店をやっていれば、客が体調、体質、体格、年齢、性別によって、食べる量が違うのは常識だ。特に女性客など「最初は食べられるかなと思ったけど、おなかいっぱいになった」と注文した食事を平らげられない人は山ほどいる。

 それがうかがえるのが、食品ロスだ。2022年度の推計は約472万トンで、その半分の約236万トンは外食での食べ残しや商品の売れ残りなど「事業系」となっている。全国で無料ライスを提供する飲食店の「客が食べずに余った米」もかなり含まれているはずなのだ。

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