なぜコンビニ以上に調剤薬局があるのか 「クスリを出さない」発想が求められる理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月6日 7時10分
●調剤薬局大手が人気雑貨店を子会社化
分かりやすいのは、調剤薬局大手アインホールディングス(札幌市)が2024年7月に行ったインテリア雑貨専門店「フランフラン(Francfranc)」(東京都港区)の子会社化である。
アインHDは調剤薬局「アイン薬局」を全国で1231店舗展開している(2024年4月期末)。個人経営の調剤薬局をM&Aで傘下に収めるなど、積極的に規模拡大をしてきた。
ただ、先ほどから申し上げているように、調剤薬局は飽和状態なのでこの路線はどこかで限界がくる。そこで次の成長エンジンとして期待されているのが、コスメを中心に健康食品なども扱う新業態「アインズ&トルペ」だ。
この店の主な客は女性で、新宿など都市部を中心に83店舗を展開している(2024年6月時点)。しかし、「へえそんなのあるんだ」と思った人も多いようにまだ知名度が低い。そこでFrancfrancの出番だ。2024年7月時点で国内152店舗、海外9店舗を展開している同店は知名度が高く、実績もある。コラボ店舗などを展開していけば、アインズ&トルペにもシナジー効果が得られるはずだ。
調剤薬局にとって「M&Aなどによる規模拡大」は、厳しい競争を強いられる調剤薬局の中で生き残っていくだけではなく、異業種参入などで「薬を出さない稼ぎ方」を目指せる「一粒で二度おいしい施策」なのだ。
●大手との差別化を図る薬局も
このような話を聞くと、「個人経営の調剤薬局は大手に飲み込まれるしか生きる道がないということか」と思うかもしれないが、もちろんそんなことはない。確かに資本的には異業種を買収するなんてことはできないが、「薬を出さないスペース」を併設することで、門前薬局という立地だけに頼る調剤薬局と差別化を図っていくやり方もある。
例えば最近多いのはフィットネスジムや、地域住民の憩い場や相談窓口として活用できるようなコミニティスペースの併設だ。ただ、このような取り組みは「ウエルシア薬局」など大手が積極的に進めているので、それほど差別化にはならないかもしれない。
やはり「個人経営という持たざる者ならではの戦い方」をしていくべきだろう。そこで筆者がこれから増えていくのではないかと考えているのが「肉を切らせて骨を断つ」的な捨て身の戦略だ。「薬を出さない」ことをガチでコンセプトに掲げてしまうのだ。
「おいおい、そんなことをゴールにしたら潰れちゃうだろ」と思うかもしれないが、実はこれからの日本では非常に大事なコンセプトだ。
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