米国務省やマスク氏も採用 AIで「偽情報対策を革新」したイスラエル企業
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月26日 13時43分
サイアブラのエマニエル・ヘイマンCRO(左)と筆者
6000社のスタートアップが存在するといわれるイスラエル。AIを駆使し、偽情報やフェイクニュースを素早く発見する技術を擁するのが、同国で2018年に設立されたCyabra(サイアブラ)社だ。SNSを常に監視し、分析能力には定評がある。
2020年には米国務省が、同社のディープフェイク検知サービスの利用を始めた。2022年には、イーロン・マスク氏が当時の米Twitter社を買収する際にサイアブラを雇っている。同社による調査の結果、Twitterの利用者数に占める偽アカウントの割合が想定より少ないという結論となり、マスク氏の買収判断に影響を与えた。
今回はサイアブラでCRO (Chief Revenue Officer)を務めるエマニエル・ヘイマン(Emmanuel Haymann)氏にインタビューした。情報操作がより簡単になった現代で、防衛に強いイスラエルの強みを生かし、SNS上のフェイクニュースのソース、そして拡散状況を、政府や企業にリアルタイムに提供。即座に対策を打つことによって、企業のブランディングを維持する。その実力とは?
●イーロン・マスク氏がTwitter買収時に利用 理由は?
サイアブラは企業に、SaaSプラットフォームのサービスを提供している。何かが言及され、偽アカウントを識別するたびにアラートを出し、その警告の詳細を見ていく仕組みだ。Facebook、TikTok、X(旧Twitter)、Instagram、YouTube、Telegram、VK、Redditなどの主要なSNSを監視している。
公開されている会話を分析し、何が本物で何が偽物か、何が重要で何がただのノイズか、危険なデマや陰謀論的なコンテンツかなどを多角的に分析する。
これらの情報はソーシャルメディア上で時には真実よりも非常に速く拡散する。どんな会社でも政府機関でも、個人でも、誰かに危害を加えられてしまう。サイアブラはその源を特定してフェイク情報が広まる前に、迅速に対応する。
投稿時間や投稿数、アカウントの作成日、所在地などの条件から、悪意のある情報を拡散するボットアカウントを特定するのだ。「短期間に投稿が多い」などといった行動パターンを分析し、公式アカウントが投稿した写真とも照合する。投稿内容にAIが使われていないかを確認し、偽情報の可能性があるかどうかを判断するという。
「サイアブラがチェックするのは、あなたの言動だけでなく、行動なのです。2025年の世界経済フォーラムによると、今後2年間の『短期的なリスク』として『誤報と偽情報』が2年連続でトップに挙げられました」
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