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フジテレビの「ガバナンス不全」 日枝久氏の「影響力」の本質とは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月8日 17時56分

フジテレビの「ガバナンス不全」 日枝久氏の「影響力」の本質とは?

左からフジテレビジョンの清水賢治社長、フジテレビ遠藤龍之介副会長、港浩一前社長、フジ・メディア・ホールディングス嘉納修治前会長、金光修社長

 フジサンケイグループ代表、日枝久氏の「影響力」の本質とは何なのか――。

 フジ・メディア・ホールディングス(FMH)は1月27日、10時間23分に及ぶ異例の「やり直し」会見を開いた。フジテレビジョンの港浩一社長と嘉納修治会長は同日付で辞任したほか、後任の社長にはFMH専務の清水賢治氏が就任。会見の翌日には、遠藤龍之介副会長が第三者委員会の報告書が提出された後に、辞任する意向を示した。

 この問題が発生した原因は、同社のガバナンス不全だ。すでに80社以上の“スポンサー離れ”を引き起こしている。

 その業績への具体的な影響は、同30日に開催されたFMHの取締役会でも明らかになった。2025年3月期通期(2024年4月~2025年3月)の売上予想を5983億円から8.4%減の5482億円、純利益を290億円から66.2%と大幅減の98億円に下方修正した。

 今後の焦点は事実上の最高権力者である日枝久氏の去就だ。ここでは、フジテレビのガバナンスに焦点を当てて検討してみたい。

●ジャニーズに切り込んだBBC 性加害事件にどう対応したか?

 今回のフジテレビの問題と、旧ジャニーズ事務所にいた中居正広氏が起こした問題で連想したのは、英国の公共放送BBCの名物司会者だったジミー・サヴィル氏の件だ。同局で放送されていた子ども番組の司会を務めていた同氏は、出演していた少女らに対して性加害事件を起こしていた(被害申請は約450人)。

 事件発覚後、BBCは報道番組を通じて性加害について放送しようとしたものの、最終的には放送されなかった。この対応の不手際から、BBCの会長は辞任に追い込まれ、同局への信頼は失墜。その後BBCは第三者による検証を実施し、報告書と付随するものも含めた1000ページにも及ぶ資料を公開した。

 報告書によると、上層部による放送中止の圧力はなく、編集担当者の独自判断だったという。その一方で、BBC幹部のリーダーシップが欠けていると断罪された。報告書には企業体質についての言及もある。例えば、性被害の有無を確認することによってタレントの怒りを買い、出演を拒否されることを恐れていたという。加えて「上司に意見を言うとキャリアに影響が及ぶ」という風潮もあったと書かれている。現在の日本企業を連想させそうな言葉が並ぶ。

 BBCがジャニー喜多川氏の性加害問題を取り上げたことによって、今まで隠されていた暗部が世界に公開され、大スキャンダルに発展した。同じような問題を起こしたBBCが、ジャニーズ問題を取材する資格はないと思う人もいるかもしれない。しかし実際は、そうではないのだ。BBCは2023年、サヴィル氏の半生を描いたドラマを製作・放送した。「Safeguarding at the BBC」のWebサイトには「2度と同じ問題を引き起こさない」という意志が感じられる。つまりBBCは事件の原因を反省し、信頼回復に取り組んだのだ。

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