フジテレビの「ガバナンス不全」 日枝久氏の「影響力」の本質とは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月8日 17時56分
会社において、人事権の掌握は権力の象徴だ。大企業では、年明けから2月末ぐらいまで、同僚と人事異動や転勤のうわさ話をする機会は多いと思う。会社にとっても、業績に直結するだけに「(人事異動は)企業内部において人事最大の事案」とも言える。日枝氏は、それを差配する力を持っていたようだ。
日枝氏は、取締役に就任して40年以上が経過している。英国の思想家、ジョン・アクトンは「絶対的権力は絶対的に腐敗する」という格言を残している。日枝氏がフジテレビを腐敗させたとまでは言えないものの、同氏の長期政権によってガバナンスを効かせられない体制を作り出してしまったのは間違いない。
●コンプラ室に情報をシェアせず
フジテレビには、コンプライアンス推進室があり、中居氏の事例こそ彼らの出番だった。ところが、この案件はコンプラ室に共有されていなかった。港前社長によれば「X子さんは自然な形で誰にも知られずに職場復帰したいというのが願いだった」というのが理由のようだ。
実際、フジテレビでは何人にこの情報を共有したのだろうか? 会見で分かったのは、担当医師を別として、最初にX子さんをケアした2人の社員、把握した当時の専務である関西テレビの大多亮社長、港前社長、バラエティー番組「だれかtoなかい」の打ち切りを中居氏に伝えたフジテレビ幹部の5人だ。ケアした2人と大多専務の間に課長、部長級の社員がいてもおかしくないので、もう数人ほど増えるかもしれないと推測される。
問題は、チームとして港前社長に「コンプラ室に伝えたほうがいい」と進言できないような雰囲気にある。もしくは「最少人数」という言葉にとらわれたかのどちらかだ。前者でいえば、進言しにくい風通しの悪い社風に問題があり、後者ならば人権意識が低かったということになる。
コンプラ室で働く社員たちの気持ちを考えると「プライドを傷つけられた」というのが本音のように思う。「経営層は私たちを信じていない」と感じただろう。この時点で、ガバナンスに疑義が生じるのだ。
ガバナンスの機能不全と、人権意識の低さは「だれかtoなかい」という番組にも表れた。港前社長が、中居氏の問題を知ったのが2023年8月。同番組の終了は2025年1月だ。その間に発生した松本人志氏の性加害問題を理由に、番組を打ち切ることもできたはずだ。しかし現実には番組を継続した。それどころか、パリ五輪のキャスターなどの特番にも起用するなど、逆に露出を増やしたのだ。
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