QualcommのSnapdragonはどこへ向かうのか 鍵を握る「車載システム」への領域拡大
ITmedia Mobile / 2024年12月14日 6時5分
Investor Day 2024でのAmon氏のプレゼンテーション。5つの注力分野の現状と見通しを説明する
2023年にアナウンスされ、対応PCの出荷が2024年5月にスタートした新CPUコア「Oryon(オライオン)」搭載の「Snapdragon X Elite/Plus」だが、2024年10月に開催されたSnapdragon Summitでは、この技術をモバイル向けSoCに応用した第2世代のOryonコアを搭載した「Snapdragon 8 Elite」が発表されている。詳細については既報の通りだが、ここで注目すべきなのは同じSoCを異なる分野にそのまま横展開するのではなく、適時最適化を行った形で少しずつ浸透させるよう動いている点にある。
この新しいモバイル向けSoCについて興味深いのは、昨今のユースケースを想定して内部構造を大きくブラッシュアップしていることだ。例えばCPUコアに関してだけ見れば、スマートフォンのようなモバイル環境ではPCとは異なり、バックグラウンドタスクが少ないため、基本的に一番“表”に出てきているフォアグラウンドのアプリの動作に注力していればよかった。そのため、SoCのCPU部分では1つの強力なPrimeコアを配置し、残りはその補助を行うPerformanceコアと、普段使いでの低消費電力動作を想定したEfficiencyコアを複数並べるといった手法が近年では取られることが多かった。
一方でSnapdragon 8 EliteではPrimeコアが2つに、それを補助すべく従来よりも性能強化されたPerformanceコアを複数並べ、Efficiencyコアの代替としている。よりパフォーマンス寄りとなっているのは、ゲームを中心にCPUパワーを多く利用するアプリが増えつつある現状を考慮したものだ。
同様に、今後もモバイル端末でのAI活用が進むことを考慮し、AI対応アプリやサービスがより効率的かつ安全に動作するための改良も進んでいる。PC USERにSnapdragonのAI対応について、実際にどのような改良が行われ、最新のAIトレンドをいかに取り込んでいくかについてまとめた。
例えば数年前までのAIといえば画像や音声認識が中心で、2022年以降にコンシューマーの世界でもメジャーになった大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)のような生成AIの動作は考慮されていなかった。LLMを実行しやすいようNPUであるHexagonの演算器の構成をそれに最適化する形で強化し、さらにメモリアクセス速度がレスポンスの向上に最も効果的であることから、周辺アーキテクチャを見直すなどの工夫が凝らされている。
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