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「ゼルダの伝説 ティアキン」制作の舞台裏 「トーレルーフ」が生まれるきっかけとなった“3つのアイデア”

ITmedia NEWS / 2024年8月28日 8時5分

「ゼルダの伝説 ティアキン」制作の舞台裏 「トーレルーフ」が生まれるきっかけとなった“3つのアイデア”

「トーレルーフ」の開発秘話が「CEDEC 2024」で明らかに

 任天堂の看板タイトル「ゼルダの伝説」シリーズ最新作「ティアーズ オブ ザ キングダム」(以下ティアキン)。2023年5月の発売以来、世界中のゲーマーを魅了し続けているこの大作だが、その中にある革新的な機能「トーレルーフ」の開発秘話が「CEDEC 2024」で明らかになった。

 「トーレルーフ」は、主人公・リンクが天井を通り抜けて上に移動できる能力だ。この機能により、プレイヤーは建物や洞窟内での移動が格段に容易になった。一見単純な機能に思えるかもしれないが、この機能の実現には、複数の専門分野の技術と知恵を結集する必要があった。

 ゲーム内で洞窟や建物の探索をより自由に、そして楽しくするこの機能。その誕生の裏には、3人の専門家たちの努力と創意工夫が隠されていたのだ。

●地上、空、地下 複雑な地形の管理方法とは?

 トーレルーフ機能が生まれる以前から、開発チームではさまざまな技術的課題に取り組んでいた。これらの取り組みは、当初はそれぞれ独立した課題解決を目的としていたが、後にトーレルーフの実現に大きく貢献することになる。

 エンバイロメントプログラマーの朝倉淳さんはティアキンの開発において、ゲーム世界の3D表現をより効率的に行うための新たな手法の採用に取り組んだ。前作「ブレス オブ ザ ワイルド」では、2次元的な地形情報管理を担当。例えば、溶岩の近くで動物が不自然に出現しないよう、溶岩までの距離などの地形情報を2次元のテーブルデータとして管理していた。

 しかし、ティアキンでは、ゲーム世界が大きく立体化した。空島や地上、地底世界という階層構造を追加し、さらに複雑な構造の洞窟も登場。この3次元的な世界では、従来の2次元的な管理方法では対応が困難になった。

 そこで朝倉さんは、これらの立体的な環境を統一的に管理するため「ボクセルデータ構造」という技術を導入した。これは、3D空間を小さな立方体(ボクセル)の集合として表現する手法だ。

 朝倉さんのチームは、3Dソフトウェア「Houdini」を使い、ゲーム内の地形や建物の3Dモデルを取り込み、仮想的な光線(レイキャスト)を飛ばすことでプレイヤーが実際に移動できる場所を特定。その情報をボクセルの集合として効率的に管理できる形式に変換した。ボクセルにデータを格納することで、街道までの距離や樹木の密度などの情報を地上だけでなく、洞窟や空島といった立体的な環境でも一貫して管理できるようになった。

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