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老舗バッグメーカーはなぜ“服”を作った? 「着るバッグ」をめぐるエースの挑戦

ITmedia NEWS / 2024年9月28日 14時20分

 まず、この縦に開いた内ポケットというのが使いやすい。これが一般的なコートのように上に開口部があると、モノを出し入れする時に、肘が上がってしまう。スマホなどの頻繁に出し入れするものを入れている場合、腕の動きが少なくて済むポケットが、とても快適。これだと電車で座っている時などに、隣の人に迷惑をかけずにスマホの出し入れができるのだ。さらに、ファスナーが付いているので財布なども入れておきやすい。

 また、それぞれの内ポケットに様々なものを入れていても、あまり着崩れしたり、ポケットの膨らみが気になることもない。

 「ジャストサイズにすると、外側に入れたものの形が出たりして、着た時の見え感やバランスもよくないので、サイズ感にはこだわりました。リラックス・サイズといいますか、オーバーサイズになり過ぎないけれどゆったり着られるという辺りのサイズになるように気を遣っています。オーバーサイズが流行ってきていたので、タイミング的にも良かったですね」と生本さん。

 また、各内ポケットには、そこに入れるものを示すアイコンが印刷されている。左上はスマホ、左下が鍵とイヤフォン(キーチェーン付き)、右上に財布、右下がパスポートのアイコンという具合だ。「アイコンに関しては、ポケットが多いと、何をどこに入れたか分からなくなることがあるので、それを避けたいと思いました。定位置管理的な発想を服の中に入れ込んだ感じです」と生本さん。

 もちろん、アイコンは無視して、好きなものを好きな場所に入れればいいのだけど、この表示があることで、ある程度、頭の中が整理できる部分は確かにあると思った。このあたりもバッグ的な発想といえるかもしれない。

 また、ポケットが縦開きで、縦にファスナーが付いているという構造も、同社の「ガジェタブル」などで多用されている、縦ファスナーのポケットから引き継がれているようにも思える。実際に生本さんに尋ねてみたら、意識はしていなかったということだったが、「どこか当たり前のこととして自然にやっていたかもしれない」という答えが返ってきた。

 ファスナー自体が小さくて、目だたないように付けられているのも、バッグのフロントポケットなどでよく見られる手法。そういう作り方が、当たり前のように身に付いているスタッフが作ると、服もそんな風にバッグ的なディテールになるのかもしれない。

 「ファスナーに関して、コンシール・ファスナーを使っているのは、目だなくするという以前に、表に響かない、務歯が出ないようにするためです。中に務歯が出ていると、中の服に引っ掛かったりする可能性があるので、それを避けたいというのが大きかったんです」と生本さん。そして、ファスナーを閉めてしまうと、ポケット自体も全く目だたなくなってしまうため、ポケットの位置を示すためにもアイコンを付けたという。

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