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老舗バッグメーカーはなぜ“服”を作った? 「着るバッグ」をめぐるエースの挑戦

ITmedia NEWS / 2024年9月28日 14時20分

 ファスナーの引き手も畳むとロックされるタイプなので、チャリチャリ音がしないのもありがたい仕様。こういったファスナーの扱いにも、バッグっぽさが表れていて面白い。

 ビジネスバッグは、基本的に表側はポケッと一つくらいのシンプルなルックスで、内装に機能を盛り込むのが一般的だし、そのシンプルなデザインの中に機能を豊富に詰め込んだのが、エースの「ガジェタブル」シリーズだったりする。その意味でも、この目立たないところに様々な機能を盛り込んだコートも、とてもエースらしいといえる。

●両脇下のファスナーは何のため?

 機能として面白いのは、両脇の下に付けられたファスナーだ。これは内側ではなく、表から開閉するのだけど、私は当初、このファスナーが何のためにあるのかが分からなかった。ポケットになっているわけでもなく、開けるとそこに内側があるだけなのだ。ベルトを内側から通す穴なのかとか思ったが、それも変だ。

 「エア・ベンチレーショ・ファスナーなんです」と広報の森川さん。「あと、ジャケットのポケットなどにコートを着たままでもアクセスできるようにということも考えました」と開発の生本さん。

 なるほど、冬場に電車の中などで、コートを脱ぐのは面倒だけど、ちょっと熱がこもることがある。そういう時に、コートの中に風を通せるのは助かるかもしれない。下に着ているジャケットなどのポケットへのアクセスというのも納得だ。夏場に背中の風通しが良いビジネスリュックなどを作っているエースならではの配慮だ。

 UNTRACKのウェアは、コート以外のアイテムも充実している。シリーズ内で一番売れているのが、ジャケットとパンツのセットアップなのだそうだ。このジャケットも、コート同様に4つの内ポケットを内蔵しているのだけど、丈が短い分、下部のポケットは、上開きでファスナーではなくスナップボタンで留めるタイプになっている。

 オンにもオフにも使えるバッグに合わせる服という提案のシリーズで、セットアップが一番売れるというのは、狙いが当たっているということでもあるのだろう。ただ、そのジャケットも、無難なものを作るのではなく、デザインこそイギリスなどの伝統的な形を元にしているものの、生地にコーデュロイを使ったり、UNTRACKのバッグにも使われているベンタイルを使ったりと、素材的には中々攻めている。また、ジャケットの内ポケットに縦開きでファスナー付きというのも、相当珍しいだろう。

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