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電子コミックの源流は“PDA”から――「コミックシーモア」が歩んだ20年、朝日代表に聞く

ITmedia NEWS / 2024年10月9日 13時25分

 そういう機会を私たちの中で演出する。これも書店の仕事かなと思っています。

──紙の書店と大きく違うのは、販売データをダイレクトに持っていて、解析できるっていうところが大きいのかなという気がします

朝日:そうですね。それはどこでもやられてますけど、ある程度ヘビーに使っていただけると、お客さまの読まれる傾向も分かってきますので、その中で過去作品や新作がおすすめしやすくなります。マッチング精度も上がると思いますので、そういうデータの活用っていうのは、書店としてはしっかりやんなきゃいけない。

 だからこう、通り一辺倒に新作が出れば100万人、200万人同時にメルマガを送るっていう、そういうビジネスとは違うのかなって思ってます。

──僕個人がマンガのタイトルに出会うのって、やっぱりSNSのWeb広告が多いかなと思うんですよね。Web広告って作品の一部を切り出して作られるわけですけど、どこのコマをどう切り取って、ここまで見せてさあ続きは……っていう風に構成するのか。そのノウハウって、電子書店ならではのものがあるわけですよね

朝日:はい、ございます。うちにベテランの書店員何人もおりますので、第1話の中でも、限られた広告の中でどう切り出すか。当然、切り出す場所によって売り上げも変わるんですね。もっと言うと、キャラクターが右向いてるか左向いてるかでも変わる時があるんです。

 それくらい、熟練した人でないとできない部分もあるんです。それがうまく作れれば、 その作品を収めていただいてる出版社からも喜ばれますし、作家さんにも喜んでいただける。そこは一生懸命やる部分ですね。

──これはやっぱり、職人技みたいなところになってくるんですか。AIでは難しいですか?

朝日:今のところは、職人ですね。もちろん、2つのパターンを一定期間出してみて、どっちがこうユーザーのクリックが多かったとか数値化して見ていくことはあるんですけど、 基本的にこういうクリエイティブがいいんじゃないかっていう、その選別の目っていうのは、書店員の目ですね。

──一時期、というか今でも漫画村のような違法配信サイトは常に問題になるところですけど、違法対策としては隣接権を持ってる出版社は法律で戦えます。一方書店って、権利では戦えないんですよね。これ、書店なりの戦い方ってどういうスタイルになるんでしょうか

朝日:究極、違法配信サイトはゼロにはならないっていう原則論に立てば、これはもうどこまで行っても読み手のモラルの問題だったりするわけなんです。それはもう啓蒙していくしかないっていうところで、出版社を中心とした連合に私たちも参画していますけども、電子書店同士でも連合を作って、啓蒙活動を一緒にやらせていただいてるところです。

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