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「想星のアクエリオン」のすべて キャラデザ決定の舞台裏から特殊な制作手法まで、糸曽監督にインタビュー

ITmedia NEWS / 2025年1月9日 11時17分

糸曽:私は新しいもの好きなので、AIは普段から活用しています。権利の問題があるのでそっくりそのままではありませんが、本作でもあくまでアイデア出しのたたき台部分において、例えば戦闘機のアイデア案を「DALL・E」で出力したりはしましたね。

 あと、コミュニケーションツールはスタジオによってさまざまですが、本作では、株式会社サテライトでも採用されている「Chatwork」をメインのコミュニケーションツールとして使用しています。制作工程ごとにチャンネルを分け、それぞれのチャンネルで情報共有や意見交換などを行っていた他、週に2回、2時間程度の定例会議をオンラインで開催し、各セクションの進捗状況の確認や、問題点の共有などを行っていました。必要に応じて、個別のオンライン会議を設定することもありました。データのやりとりはクラウドサービスを利用しています。

 河森監督と初めて一緒に仕事をした『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』(2021)の制作でも、コロナ禍ということもあり、一度も東京に行くことなく、リモートで演出作業を行っています。アフレコも、スタジオにいる音響監督や声優さんたちの協力のもと、リモートで実現できた経験が、本作のリモート・分散制作も面白いんじゃないか、と製作委員会や河森さんはじめ皆さん同意してくれたベースにあると思います。

――なるほど。実写映像があれば、日常パートのイメージ共有は比較的容易だったと思いますが、アクションシーンとなると話は別ですよね。特に今回は新しい要素も取り入れられているとのことですが、どのように制作を進めたのでしょうか?

糸曽:はい。アクションシーンは、さすがに絵コンテをきちんと描いて、CGディレクターとプリビズを作成し、それを基に打ち合わせを行いました。特に今回は、過去神話編の制作に力を入れています。

※プリビズ:プリビジュアライゼーションの略。CGを用いて、実際の映像に近い形で、カメラワークやキャラクターの動きなどを事前に確認するための映像のこと

 実は、過去神話編は「目指せ『アーケイン』」(※2021年にNetflixで配信されたゲーム原作のフル3DCGアニメ)を合言葉に、全て絵画タッチの3DCGで制作しています。あの作品のような、絵画のような映像表現を目指しました。

 このパートのキャラクターデザインは、森山佑樹さんにお願いしています。森山さんは、3DCGアニメーションの制作を得意とするポリゴンピクチュアズで、「シドニアの騎士」(2014)や「亜人」(2015)のキャラクターデザインを手掛けられた方です。過去神話編と現代編で、ビジュアルスタイルをガラリと変えることで、それぞれの時代の雰囲気の違いを表現しています。

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