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「想星のアクエリオン」のすべて キャラデザ決定の舞台裏から特殊な制作手法まで、糸曽監督にインタビュー

ITmedia NEWS / 2025年1月9日 11時17分

●リモートワークでアニメを作るには

――よく分かりました。そしてコロナ禍という状況下で、制作体制も分散型になったということですね

糸曽:そうなんです。シリーズ構成の村井さんをはじめ、メインスタッフは、複数のプロジェクトを掛け持ちしている人が多く、常にスタジオにいてくれるとは限りませんでした。また、私の拠点が大阪なので、東京のスタジオとの間を頻繁に行き来する必要がありました。

 さらに、私は10年以上、大阪成蹊大学でアニメーション制作を教えているのですが、初期の教え子たちがアニメ業界で10年ほど経験を積み、力をつけてきたので、今回、演出や総作画監督として参加してもらっています。彼らは、大手アニメスタジオに所属しているのですが、「層が厚くなかなかチャンスが回ってこない」という悩みも聞いていたので、「ぼくがサポートするから、一緒にやってみないか?」と声をかけました。

 彼ら以外にも、私が声をかけたクリエイターの多くは大阪在住です。また、背景美術を担当していただいている方は北海道在住です。コロナ禍という状況も重なり、結果的に、多くのスタッフがリモートで作業に参加する体制になりました。

――他のアニメスタジオでは、コロナ禍でリモートワークが可能になったものの、「やはり1箇所に集まってコミュニケーションを取りながら制作を進めたい」という声も聞かれます。CGスタジオの場合は、制作に必要な機材や環境がオフィスにしかないという事情もあります。メリット、デメリットについてはいかがですか?

糸曽:リモートワークでは、意思疎通がうまくいかない場合があるのは、デメリットの一つです。例えば、何かを確認したいときに、いちいちスケジュールを合わせてオンラインで集まらなければならないので、時間的なロスが生じることもあります。一方で、メリットとしては、場所に縛られず、世界中のクリエイターと協力できるという点があります。

 今回の作品では、ロボットのバトルシーンを「スパイダーマン:スパイダーバース」(2018)のような、スタイリッシュで斬新な表現にしたいと考えました。そのためグラフィカルな要素を多く取り入れています。この部分はカナダ在住の日本人クリエイターに依頼しました。時差があるためリアルタイムでのコミュニケーションは難しいですが、グループウェアを活用することでスムーズに制作を進めることができました。

――前世、現世、アクションと、異なる設定の制作が同時並行で進められたとのことですが、具体的にはどのようなツールを使って、どのようにやりとりを行っていたのでしょうか? また生成AIの活用などはあったのでしょうか?

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