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「想星のアクエリオン」のすべて キャラデザ決定の舞台裏から特殊な制作手法まで、糸曽監督にインタビュー

ITmedia NEWS / 2025年1月9日 11時17分

――現世はデフォルメキャラですが、前世はリアル路線という対比になっていますね

糸曽:そうですね。私は「奇をてらって、視聴者の心をつかむ」のが好きなんです(笑)。そこで、今回は思い切って、これまでになかった斬新なビジュアルに挑戦してみました。現代編のデフォルメされたキャラクターと、過去神話編の絵画タッチの3DCG、そしてスタイリッシュなアクションシーン。これらの要素がどのように組み合わさり、どのような化学反応を起こすのか、私自身もドキドキしながら制作しています。結果がどうなるのか、ぜひ楽しみにしていてください。

●糸曽流・製作委員会との付き合い方

――作品の生まれた経緯、制作手法や体制など、まさに革新ずくめ、という本作ですが、最後に糸曽監督といえば、以前ITmediaで「製作委員会方式やめました」という刺激的なタイトルのインタビューが掲載されて話題になりました。今作は製作委員会方式で製作されていますが、自己資金での「サンタ・カンパニー」(2019)も手掛けた監督として、どのようなスタンスで臨んでいるのか、教えてください

糸曽:あの記事はYahoo!のトップページにも載って、各方面からすごく反響がありましたね(笑)。でも、あのタイトルは私が付けたわけじゃないんですよ。記事の中身を読んでもらえば分かるんですが、私は製作委員会方式を否定しているわけではなくて、ただ単に、オリジナル作品に資金を出してくれるところがなかったので、自分で資金を出して制作したというだけの話なんです。

 製作委員会方式は、複数の企業が出資してアニメを制作する方式で、リスク分散や資金調達の面でメリットがあります。しかし、オリジナル作品は原作がないため、成功するかどうかが未知数で、リスクが高いと判断されることが多いです。そのため、製作委員会に参加してくれる企業を見つけるのは、容易ではありません。当時、私も若かったし、「とにかく動けば何とかなるんじゃないか」と思って、いろいろな企業に営業をかけましたが、どこも資金を出してくれませんでした。

 そこで、「10年でも20年でも、自分でお金を出して作り続けるしかないのか」と悩みました。あるいは、どこかから資金を調達して、リスクを負ってでも制作するしかない。そう考えて、クラウドファンディングに挑戦したり、お金を借りたりもしました。クラウドファンディングでは、ファンや投資家から資金を募り、その見返りとして、作品への参加権や限定グッズなどを提供します。資金を調達できても今度は、その資金を作品の売り上げから回収しなければなりません。つまり、クリエイティブな作品づくりだけでなく、資金回収のためのビジネス的な活動も並行して行う必要がありました。これは、大変な作業でしたが、多くのことを学ぶことができました。あのインタビュー記事は、そんな私の経験を語ったものです。

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