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「映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」レビュー 2年続けて「最後で台無し」の恐怖

ねとらぼ / 2024年8月24日 19時0分

「映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」レビュー 2年続けて「最後で台無し」の恐怖

「映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」ポスタービジュアル

 とても悲しい。現在公開中の、大人の観客から賛否両論を呼んでいる「映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」は、個人的にはまったく受け入れられない作品だったからだ。

 いったいどうしてしまったのか。今回はもう作り手の「クレヨンしんちゃん」という作品への愛情も、題材となった恐竜への敬意も、ましてや良い映画を作ろうとする最低限の誠意さえもないのではないかと、疑いたくすらなった。こんな「クレヨンしんちゃん」映画が生まれたことに本気で失望したし、これを良しとした関係者に「現場は大丈夫なんですか?」と質問したいほどだ。

●前作と同様に良いところもあるけど最後で台無しに

 もちろん良いところもある。水樹奈々が演じるゲストキャラクターの恐竜「ナナ」は見た目も動きもかわいらしく、犬のシロと相性抜群の活躍を見せる。最新の研究結果を取り入れた羽毛が生えている恐竜の作画や、渋谷の街を筆頭とした背景描写も丁寧で、タイトルにある「日記」を生かした演出もうまい。

 序盤の物語の流れも悪くはなく、ちゃんと笑えるギャグもあり、さまざまな種類の恐竜が登場する見せ場も用意されている。夏休みのファミリー向け映画の“型”は保っているので、楽しめたという声があることにはうなずける。

 だが、中盤からは到底納得できない雑なつくりが目にあまる。さらには重い問題提起に対して不誠実極まりな結末は、「良いところもあったのに、最後で無理やり感動させようとして台無し」だった前作「しん次元! クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~」と共通していた。

 ここからはネタバレ全開で本作の根深い問題点に触れていく。本作を文句なしに楽しんだ方は不快に感じられる可能性があるため、ご了承のうえでお読みになってほしい。

【※※※以下、「恐竜日記」の結末を含むネタバレに触れています。「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」と「嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」の重大なネタバレにも触れているのでご注意ください。※※※】

●むしろファンをがっかりさせる“目配せ”

 まず「クレヨンしんちゃん」映画のファンとして怒り心頭だったのは「過去の名作への目配せは一丁前なのに、その本質をまったく理解せず、ただ“出しただけ”に見える」ことだ。

 例えば、凶暴化した恐竜のナナを研究者のビリーが「人間と恐竜は共存できないんだ!」と言いながら撃ち殺そうとすることに対し、しんのすけは「ズルいぞ!」と言う。これは「オトナ帝国」の終盤のセリフの明らかな踏襲だが、この場面で「ズルい」という言葉選びは不自然だ。そこは「ヒドいぞ!」ではないのか?

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