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開発者だからこその世界最軽量へのこだわり――退任した富士通クライアントコンピューティング 齋藤邦彰会長の歩みを振り返る

ITmedia PC USER / 2024年7月1日 17時0分

 同氏が携わったPCの1つが、2000年9月に発表されたモバイルPC「FMV-BIBLO LOOX(ルークス)」だ。A5紙とほぼ同じコンパクトサイズ(幅243×奥行き151mm)で、1kgを下回る約980gの軽量化を実現し、DDIポケット(現在のソフトバンク)のPHSネットワークに対応するモジュール「H" LINK(エッジリンク)」によって、PCを開けばデータ通信がすぐにできるモデルも用意され、Transmeta(トランスメタ)の省電力CPU「Crusoe(クルーソー)」を初めて採用したことでも話題を集めた。

 実は、本機のCPU選定を担当したのが齋藤氏である。「今のスマートフォンの使い方と同じように、電車の中でもネットにつながり、作業ができるようにするためには、省電力化が欠かせなかった。どこまで省電力化できるかが、開発チームのテーマ。そこでいち早く、Crusoeの採用に踏み切った」と齋藤氏は語る。

 その後、CPUはIntel製に変わったものの、同シリーズは2011年まで進化を続けた。斎藤氏は「富士通のPCにとって、LOOXは特別なブランド。モバイルコンピューティングの世界をリードし続けるために、常に革新的な製品づくりを目指すブランドと位置づけてきた。新製品を投入する度に、従来モデルを超える高い目標を打ち出し、何度も試行錯誤を繰り返し、進化を遂げてきた」と振り返る。

 FCCLは2022年3月、富士通ブランドPCの40周年記念モデルとして「FMV LOOX」を復活させた。この復活にも、齋藤氏の強い意思が働いているという。

 FMV LOOXは13.3型有機ELディスプレイを採用し、別売の専用キーボードを接続するとノートPCとしても利用できる2in1タイプのWindowsタブレットだ。2022年1月に米ラスベガスで開催された「CES 2022」では、「CES Innovation Awards 2022」を受賞するというデビューを果たし、世界中から注目された。

 初代LOOXから、40周年記念モデルのFMV LOOXまで、齋藤氏のこだわりが詰まった製品だといえる。

 齋藤氏が「ものづくり好き」だと感じるできるエピソードは、いくつもある。

 2009年に行われた「CEATEC JAPAN 2009」のパネルディスカッションでは、同じ席に競合PCメーカーの幹部が並ぶ中、開発コンセプトモデルをいきなり披露してみせた。

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