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開発者だからこその世界最軽量へのこだわり――退任した富士通クライアントコンピューティング 齋藤邦彰会長の歩みを振り返る

ITmedia PC USER / 2024年7月1日 17時0分

 現在はモバイルノートPCの主戦場は14型に移っているが、世界最軽量宣言をしてから約7年を経過した今でも、その座は譲っていない。

 少しこぼれ話をすると、UH75/B1が発表された直後、NECパーソナルコンピュータ(NEC)が最軽量構成で約769gとなる「LAVIE Hybrid ZERO」を発表した。

 FCCLは「世界最軽量」の座をいきなり失ったかに見えた。しかし、出荷開始までの1カ月間に島根富士通(FCCLのPC生産子会社)でUH75/B1の量産を行ったところ、さらに軽量化を進めて761gを達成できることが分かり、発売時点で“首位”の座を奪い返してみせた。

 世界最軽量の座を譲らない――そんな齋藤氏の意思が、開発現場や生産現場にも浸透し、最後の最後まで諦めずに軽量化に挑戦するという姿勢が定着していたことの証ともいえる。

 この姿勢は、2020年10月に発売された「LIFEBOOK UH-X/E3」でも顕著だった。

 本製品の発表会はコロナ禍でオンライン開催となったため、製品説明は事前のビデオ収録となっていた。収録は発表会の約2週間前に行われ、その時の本体重量は約638gだったという。しかし、開発チームはそこからさらに改良を加え、約2週間の間に約634gにまで軽量化してみせたのだ。

 会見では説明ビデオを放映した後、ライブで質疑応答が行われた。質疑応答に入る際に、齋藤氏は突然ボードを持ち出して、638gの末尾の「8」の部分のシールをはがし、“634g”と発表してみせた。せっかく撮影したビデオが間違いのまま放映された格好だったが、それだけ軽量化にこだわる意識が開発現場にも浸透していたことが証明されるエピソードといえるだろう。

 そして「634g」という数字にも意味がある。世界最軽量モデルの開発を担ったFCCLの研究開発(R&D)センターの最寄り駅は、JR南武線の武蔵中原駅(川崎市中原区)にある。「武蔵」が「634」と連動しているのだ。

 武蔵で生まれた世界最軽量PCだからこそ、634gであるという遊び心を持ちながらも、高いハードルに挑戦した――FCCLの開発チームの心意気だといえる。

●AIアシスタント「ふくまろ」に強いこだわり

 齋藤氏が、もう1つこだわってきたこととして、FCCLの個人向けPCに標準搭載されているAIアシスタント「いつもアシスト ふくまろ」がある。

 この機能は、アプリを起動して話しかけると、アプリ名の由来にもなった「ふくまろ」が回答してくれるというものだ。2018年に登場して以来進化を続けており、2023年11月にはAzure OpenAI Serviceを通じて「ChatGPT 3.5」を活用できるようになった。これにより、ユーザーとのやりとりがより自然になり、幅広い話題にも対応できるようになった。

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