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開発者だからこその世界最軽量へのこだわり――退任した富士通クライアントコンピューティング 齋藤邦彰会長の歩みを振り返る

ITmedia PC USER / 2024年7月1日 17時0分

 このとき公開したのが「Frame-Zero」で、ディスプレイの枠がないPCや携帯電話を組み合わせることで画面を拡大でき、画面サイズ一杯に画像やデータを表示することができるというものだった。家族や友人、会社の同僚が持っているPCや携帯電話を持ち寄れば、画面はいくらでも拡大することが可能で、切り離したときに、それぞれのデバイスにデータが共有され、自分の画面で見ることができる――そういうコンセプトだ。

 同氏はFrame-Zeroを「モノとモノのシンクロ、人とモノがシンクロできる未来のデバイス」と位置付けつつ、「社内では、将来のPCの形はどうなるかといったことをさまざまな角度から検討している。時代がやってくるのを待つのではなく、顧客がどんなものを望んでいるのかを先取りして提案をしている」と、富士通のPC事業の基本姿勢を語っていた。

 新たなことに挑戦する齋藤氏の姿勢は、FCCLのトップに就任してからも変わらなかった。2016年に富士通の完全子会社としてFCCLがスタートしたのにあわせて、斎藤氏の肝入りでスタートしたのが、新規事業創出プロジェクト「Computing for Tomorrow」だ。

 このプロジェクトでは、若手技術者などの自由な発想を元に、「PC」「タブレット」といった既存製品の枠にとらわれない製品やサービスの創出を目指し、年間予算を確保した。また、プロジェクトチームの参加者は担当業務(現業)から半年間離れて“専任”でプロジェクトに従事させるという仕組みまで構築した。

 この取り組みから、エッジコンピュータ「Infini-Brain」「ESPRIMO Edge Computing Edition」が生まれた他、電子ペーパー端末「QUADERNO(クアデルノ)」の製品化にも影響を与えた。

●あくなき「世界最軽量ノートPC」へのこだわり

 齋藤氏がFCCLの社長に就任してから、特にこだわっていたものの1つに「世界最軽量のポジションの維持が上げられる。自ら小型/軽量ノートPCの開発に携わってきたからこそ、強い思いがあったのだろう。

 FCCLは、2017年に発表した「LIFEBOOK UH75/B1」でモバイルノートPCの主戦場となる13.3型ノートPCにおいて当時の世界最軽量となる約777gを達成した。このときの記者会見で、齋藤氏は「(モバイルノートPCにおける)世界最軽量の座は譲らない」と宣言してみせた。

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