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PC畑を歩んできたエプソン販売の栗林社長が改めて「お客さま」本意の方針を掲げる理由

ITmedia PC USER / 2024年8月7日 12時0分

 PC USERの読者であればお分かりだと思うのですが、PCはプリンタのように独自のインクジェット技術で差異化できる商品ではなく、CPUやOSが決まっており、メーカーとしての価値を出すことが難しい商品だといえます。どこに価値を出すのかといったことを突き詰めていったとき、その答えを持っているのがお客さまであるというのが、長年、PCビジネスをやってきて学んだことです。

 ある日、お客さまに対して、なぜエプソンダイレクトのPCを選択していただけたのかということを聞いてみました。日本で生産し、日本にサポート拠点があり、修理が早いといった点を評価していただいたり、余計なアプリが入っていなくていいという声もいただけたりしました(笑)。

 また、ハイエンドモデルが売れている理由を探っていったら、映像編集の用途に使われていることが分かり、そういったお客さまと共に事前検証を行いながら、より求められる仕様に進化させるといったことも行いました。頻繁なWindowsのアップデートに困っているというIT部門の声に対しては、Windows Embedded OS(現在のWindows for IoT)を採用することで解決を図るといった提案も行いました。

 PCは要素技術では他社と差別化ができませんから、お客さまに課題を聞いて、それを元に差別化するポイントを見つけるしかありません。エプソンのPCビジネスはダイレクト販売ですから、これが功を奏して、お客さまから直接お話を聞いたり、あるいは非常に早くレスポンスをいただいたり、それを製品化に反映したりといった強みを生かして差別化ができました。

 私には、PCビジネスで、お客さまを軸としたダイレクトビジネスをやってきた経験があります。これはエプソンのPCビジネスの大きな特徴です。だから、「すべての行動の軸をお客さまに置く」という中期活動方針を打ち出したわけではないのですが、その経験は生かしたいと思っています。プリンタも、以前のように、速い、きれいといったことだけが差別化になる時代は終わり、別の価値を提供する必要があります。そのためには、お客さまを軸にすることがより大切になってきます。

●全社プロジェクトで新たな価値を創出

―― 4月25日に行った社長就任会見で使用した資料では、「お客さま」という文字がたくさんありました。数えたところ、表紙を含めて19ページの資料の中に30回ありました(笑)。

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