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PC畑を歩んできたエプソン販売の栗林社長が改めて「お客さま」本意の方針を掲げる理由

ITmedia PC USER / 2024年8月7日 12時0分

栗林 はい、それは意識をして使っていました(笑)。ただ、この考え方は私が突然始めたわけではなく、前任の鈴村文徳氏が掲げていた「モノからコトへのシフト」と同じ意味があります。

 コトの価値は、お客さまを知りつくし、困りごとを把握しないと実現できません。お客さまを軸にした活動をベースにしようという取り組みは、このときから既に始まっています。エプソン販売の場合には、パートナーと連携は強化しているものの、お客さまのところに行くことが少ないという状態が続いていました。しかし、ここ数年でその意識が変わり、お客さまのところに出向き、課題をしっかりと探るといった活動が始まっています。

―― 栗林社長体制での新たな取り組みとして、全社プロジェクトを開始しましたが、これも「行動の軸をお客さまに置く」という姿勢と連動したものになりそうですね。

栗林 その通りです。全社プロジェクトは、組織横断型で顧客価値創出を加速することを目指した活動です。例えば、環境や省人化といった課題においてエプソンがどんな貢献ができるのかといったことを理解するために、お客さまの声に耳を傾け課題を把握し、包括的な価値提供を行うことになります。

 エプソンが持つ技術を活用し、カスタマイズを加えた提案を行うだけでなく、外部のパートナーとの連携によって価値を提供することも視野に入れています。大切なのは、この商品はこの窓口を通じて個別の課題を解決できればいいというのではなく、お客さまの幅広い課題に対して、どう協業すれば包括的にサポートし、課題を解決し、お客さまを笑顔にできるかを考えるということです。

 すぐに成果が出るとは思ってはいませんし、お客さまの声を聞くということは時間をかけてじっくりと進めるべきだと思っています。お客さまの声を元に、特定の商品やサービスに絞られない新たな提案を模索していきます。

―― 「行動の軸をお客さまに置く」、あるいは「モノからコトへのシフト」といった取り組みが、既に成果につながっている事例はありますか。

栗林 例を挙げると、スタディラボとの協業による「StudyOne」は、その1つです。スタディラボが持つ学習管理システムと、エプソンが持つ遠隔印刷とスキャン技術を組み合わせて、デジタルと紙を融合させた家庭学習を提案し、塾と子ども部屋をつなげる学習サービスとなっています。

 具体的には、学習塾は生徒に合わせた課題プリントを選択して、生徒の家に送信し、生徒は届いた課題プリントをプリントアウトして学習した後に、プリンタのスキャン機能を使って学習塾に返信することで、家に居ながら塾と同じ学習が行えるようにしています。また、各プリントにはQRコードが自動で印刷されるため、これを活用して、生徒の学習ログとしてデータを蓄積できます。

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