1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

複雑化した日本のキャッシュレス決済を再びシンプルに JCBと九大発のベンチャーが挑戦する「画期的購買体験」の提案

ITmedia PC USER / 2024年9月6日 14時0分

●始まりは「タッチしないタッチ決済」という発想

 近づいてチェックに関わる技術開発は、JCBがりそなホールディングスやベスカと共同で立ち上げた「タッチしないタッチ決済プロジェクト」に端を発する。

 昨今普及しているQRコード決済では、決済時にユーザーが「スマホを取り出す」「アプリを起動する」「QRコードの表示(または読み取り)操作を行う」「スマホの画面を提示する」という一連の操作が必要となる。

 このプロジェクトでは、ユーザーの所有物とデバイスの位置特定技術を組み合わせて、シンプルかつ質が高いユーザー体験(決済)を実現しようとするというコンセプトを掲げた。ここでいう「デバイスの位置特定技術」として想定されたのが、BLEやUWB無線だ。

 しかし技術開発に当たり、ジェーシービーは幾つかの課題を解決しなければならなかった。

 1つはUWB技術の普及だ。UWB無線を使う場合、スマホだけでなく、レジにもUWB通信機器を搭載する必要がある。そうなると、パートナーとなるチップメーカー(あるいは機器メーカー)を見つける必要もある。通信行政上の心配もあるが、この点は自動車の鍵などでも利用されていることから、問題としては大きくないと見られる。

 より重要なのは、スマホやOSを開発するメーカーがサードパーティーにUWB無線を使わせてくれるかどうかという問題と、ユーザーや店舗が技術を受け入れてくれるかという課題もある。この点については、Appleは「Nearby Interaction」というAPIを通してサードパーティー開発者もUWB無線を使う仕組みを用意している。またGoogleも、サードパーティー開発者向けにUWB無線を扱うためのAPIを用意している。少なくともOS(アプリ)レベルでは問題なさそうだ。

 そして「ユーザーや店舗が技術を受け入れてくれるか」という課題について、JCBはiQ Labsと連携することにした。

 先述の通り、iQ Labはimagoのシンクタンク部門だ。九州大学内に活動拠点を置き、ほとんどのスタッフが現役の同大生、または同大の卒業生である。コロナ禍における遠隔授業のサポート体制構築など、大学が抱える課題の解決から、Z世代/α世代が持つ“本音”のニーズを掘り起こす調査まで、さまざまな業務をこなしている。そこから派生して、調査結果に基づいた製品開発や、UX(ユーザー体験)デザインも手掛けている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください