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なぜ“まだ使えない”Apple Intelligenceを推すのか? 新製品から見えるAppleの狙い

ITmedia PC USER / 2024年9月11日 17時45分

 この技術を使うことで、ユーザーのデータは「匿名化」と「非保存処理」が施される。そして電力効率を重視する観点から、カーボンニュートラルを実現したデータセンターの構築を行うという。

 プライバシーを守りつつ、環境に配慮した考慮したサービスを実現する――この点において、ライバルに対するリードは大きいのではないだろうか。

 そしてApple Intelligenceが実現する機能は、スマホを持っていることのメリットをさらに伸ばしうる。

 スマホには、クラウドを軸にしてプライベート、ビジネス、公共サービスなど、あらゆる情報が集まってくる。生活のインフラとして欠かせないデバイスであることは、もはや言うまでもない。そこに集まる情報をAIの学習データ、あるいはコンテンツの生成時に参照するデータとして使えれば、ユーザーにとって極めて有益な“情報源”となる。これはクラウド上で提供するAIでは実現できないことだ。

 例えば「Gmail(Googleのメール)」を使っているユーザーは多くても、「Google チャット」を使っているユーザーはそれほど多くないはずだ。日本であれば、Google チャットの変わりに「LINE」や「Facebook Messenger」を使っている人の方が多いだろう。やり取りする相手によっては「+メッセージ」を始めとする通信キャリアのメッセージサービスを使うこともあるだろうし、仕事のやりとりなら「Slack」や「Microsoft Teams」なんかを使うこともあるだろう。最近なら「Discord」を仕事に使う、なんていう話もよくある。

 そして、これらのコミュニケーションサービスが“閉じている”とも限らない。むしろ、複数のサービスにまたがっている場合の方が多いのではないだろうか。

 スマホに集まってくる多様なデータを人間(ユーザー)が全て把握し、その文脈を全て追い切るのは極めて難しい。一方でAIなら、そうした雑多なデータを一括して情報として参照しつつ、意味の通る情報に組み立て直すこともできる。

 これをクラウドで実施する場合、異なるサービス間での情報の追跡や、一貫性を保つことが極めて難しい。しかし、iPhoneという“システム”に集まってくる情報を何らかの形で標準化した上でAIで扱い、異なるアプリ間のデータを相互に集めて整理することは可能だ。

 Apple Intelligenceが行おうとしているのは、まさにそうした人間では把握しきれないほどの情報を整理し、ユーザーにサジェスチョンすることだ。こればかりは、手元の端末が中心でなければ提供できない。

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