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シャープがEVを売りたい理由 CTOに聞く、“シャープらしさ”を取り戻すために今考えていること

ITmedia PC USER / 2024年9月12日 15時5分

―― 2023年のSHARP Tech-Dayを振り返ると、どんな成果が出ましたか。そして、それは2024年のSHARP Tech-Dayにどうつながっていますか。

種谷 2023年のSHARP Tech-Dayで展示した技術やソリューションは、既にいくつかの商談が始まっていたり、実用化されたりしています。AGV(自動搬送装置)を活用した倉庫ソリューションはもうビジネスにつながっていますし、デバイスは目的や用途が明確な場合が多く、製品への応用は早い段階から進んだものが多いですね。

 また、話題を集めた静音技術は、2024年8月に発売したシャープの掃除機に適用していますし、10月以降に発売する製品の中にも2023年展示した技術を採用したものがあります。一方で、お客さまの声を聞いて方向転換すべきだと判断したものもあり、それは出口戦略を大きく変えているなど、成果が着実に出ています。さらに、私から見て最も大きな成果は、技術者のモチベーションが上がったということです。

 これまでは完成した製品に対して、お客さまから声をいただくということはあっても、まだ製品になっていない技術の段階で、直接お客さまの声を聞くということはほとんどありませんでした。自分たちのコンセプトや世界観を早い段階で聞いていただき、評価をしてもらい、場合によっては間違いに気が付くということもります。

 目指した世界観に共鳴いただくと、世の中に早く出していきたいという気持ちが強くなりますし、今回のTech-Dayに向けても必ず間に合わせるんだという気持ちが出てきています。学会での発表とは異なり、技術者自らがオープンにプレゼンテーションができ、しかもユースケースを元に、どう社会を変えることができるのかといったことを語れる場を持つのは非常に重要なことです。

 2023年のSHARP Tech-Dayの経験を経て、技術そのものが生み出す価値や社会に対する影響、未来への価値という大きな視点で、技術者が考えるようになっています。2024年のSHARP Tech-Dayでも、技術者自らが展示ボードの言葉を考えていますが、技術の説明はせずに、技術によって生まれる価値だけを訴求してもらっています。

 技術者にとっては苦痛かもしれませんが(笑)、その癖をつけると、日々の開発でも視点や発想が変化していきます。SHARP Tech-Dayの経験は、当社技術者のモチベーションを高めるだけでなく、技術の中身だけにこだわらずにユースケースから生み出す価値を捉える視点へと変化したり、発想を変えたりするきっかけにもなっています。

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