1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

シャープがEVを売りたい理由 CTOに聞く、“シャープらしさ”を取り戻すために今考えていること

ITmedia PC USER / 2024年9月12日 15時5分

 私自身、SHARP Tech-Dayの展示会場には、納得がいく技術をそろえることができたと思っています。この1カ月で、かなり進歩した技術もありました。技術者は、SHARP Tech-Dayが始まるぎりぎりのところまで開発を進め、会場に持ち込むことになります。

●独自AI技術「CE-LLM」を向上 EVコンセプトモデル「LDK+」も

―― 2024年のSHARP Tech-Dayでは、EV事業への参入が大きな話題となりそうです。「Next Innovation “EV”」のエリアを設置し、EVコンセプトモデル「LDK+」(エルディーケープラス)を展示することを発表しています。

種谷 当社は、数年後をめどにEVを発売します。そのときに、シャープブランドのクルマとして販売するのか、パートナーとの合弁会社を設置して別ブランドで販売するのかと出口はいろいろありますし、現時点では決まったものは何もありません。

 冷蔵庫のブランドのクルマが街中を走ることが、果たして受け入れられるのかということも考えなくてはならないですし(笑)。ただEVは、もはや動く家電ともいえる存在になっていますし、家電の延長として捉えることができます。そこには、家電メーカーである当社が提供できる価値が存在するといえます。

 例を挙げると、ソニーは車内空間でエンターテインメントを楽しむEVを提案していますが、当社のEVはそれとは異なり、もう1つの部屋として生活に根ざしたさまざまな空間に変えて、活用できる価値を提供することを目指します。

 当社が着目したのは、EVは家の駐車場に止まっているときには価値を生み出していないという点です。EVは家とつながることが増え、ガソリン車ではできなかったような連携によって、多彩な用途が想定されますが、今はバッテリーを蓄電池として利用する程度の話であり、EVの車内空間は何も使われないままで、もったいないと感じていました。そこに、家電メーカーとして新たな提案ができると考えています。

 「LDK+」は後部座席が後ろ向きに回転し、ドアが閉まると両サイドの窓に搭載した液晶シャッターが閉まり、プライベートな空間が生まれます。65V型のディスプレイを備えていますから、リモートワークのスペースとしても利用できたり、集中して仕事をしたり、子供部屋としても利用できます。

 ガソリン車と違って、エンジンをかけずにエアコンを回してビールを飲みながら、大画面かつ大音量で誰にも邪魔されず、映画を楽しむといったことも可能です(笑)。また、大画面を通じて家の中にいる家族とのシームレスなコミュニケーションができるので、まるで隣の部屋にいるような状況も作れます。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください