エプソンダイレクトのデスクトップPCを一手に担う「ちくま精機」 訪ねて分かった1日修理や短納期を実現する“秘密”
ITmedia PC USER / 2024年12月17日 17時30分
配送されてきた修理品は、開封時点で同封の付属品類を確認する。修理内容によっては不具合の再現作業も実施し、予定している修理方法で問題ないかの確認も行っている。
作業者の前に設置されたディスプレイには、分解手順書、作業の注意点や修理完了後の点検項目が示される。作業前にユーザーへの確認が必要な場合は、確認を行う手順も指示される。
一部の法人では法人固有の検査(点検)項目が設定されていることもあるが、それも含めて全検査を完了しないと出荷(返送)指示を行えない。点検漏れをなくし、修理品質を高めるための仕組みだ。
修理品に修理履歴がある場合は、それもディスプレイに表示される。そこに新しい修理内容などを追記していくことになるが、この情報はコールセンターとも共有されている。修理後にユーザーからコールセンターへと問い合わせが入った場合でも、履歴を元に回答できる。
ディスプレイでは、特定機種における効率的な修理方法や、気を付けるべき内容など、熟練工の「ノウハウ集」も確認できる。熟練工が得た知見や工夫を、全作業者で共有できることも強みといえる。
修理用部品は、作業フロアに置いてある。交換する部品を登録すると、部品が置いてある棚番号が表示され、そこに部品を取りに行く仕組みだ。ただし、一部の部品は別の場所に保管しているという。
エプソンダイレクトでは、2023年7月から「最長7年サポート」を提供している。それに伴い部材の在庫量が少し増える傾向にあるという。例えばノートPCなら、サポート期間が延びると「機能的な故障」よりも移動中の破損など「物理的な破損」による修理比率が増加する。そのため、ノートPCならケース類の在庫が増えるそうだ。
しかし、従来は「最長6年」だったことを考えると、それをさらに1年延ばす程度なので、在庫が極端に増えることはない。また、昨今では共通部品も多く、そのことが在庫増加の抑制に貢献しているという。
●資本的つながりのない両社が緊密な連携を行える理由は?
ちくま精機では「生産」と「修理」を近傍で行っている。生産工程と修理工程で素早くに情報を共有できるため、修理工程で得られた情報をもとに、生産工程の改善につなげるといった水平展開を図りやすい。
エプソンダイレクトでは、法人ユーザーのPC利用状況を実地で確認した上でカスタマイズを提案したり、法人ユーザーの要望を生産現場で実現(反映)させたりという活動を行っていることも見逃せない。
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