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日本の自動車分野と「AI」「コンピュータ技術」で連携――LenovoのルイCTOに聞く

ITmedia PC USER / 2025年1月7日 12時31分

 ただ、ルイCTOは現在、AI開発からは離れ、新分野の研究開発を担当している。その新分野として、「自動車」は一大トピックでもある。ルイCTOは以下のように語った。

 今回、(Lenovo Tech World 2024で)AIによる自動車コンピューティングの話題に触れた理由は、Lenovoが過去40年間にわたり、全てのコンピューティング分野で大きな成功を収めてきたことにある。PC分野ではトップで、タブレットやストレージサーバでもトップ3以内、そしてHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)でもトップに位置している。 ここで問題になるのが、「次の大きなコンピューティングのトピックは何なのか?」という点だ。私の担務がAIの責任者から“新分野”の責任者に変わる中で、自問自答してきた。そうした過程で導き出したのが、「自動車コンピューティング」の世界だ。2030年までにLenovoの持つ全てのコンピューティングパワーを新分野に集約すれば、PCやスマートフォンのような世界が自動車コンピューティングの分野でも実現できるのではないかと考えている。 過去、自動車に搭載されていたコンピュータは非常に小さいのものだった。日本ではトヨタ、ホンダ、日産といった多くの偉大な自動車メーカーが存在する。これらのメーカーの伝統的な自動車では、1台当たり100以上の「ECU(Electronic Control Unit)」が搭載されているが、1つ1つのECUは、ごくわずかなコンピューティングパワーしか備えていない。その用途も、「窓の開閉」「ワイパーの制御」といったように、非常にシンプルだ。 以前であれば、この世界はLenovoの「DNA」とは相いれないものだった。しかし、その状況もここ数年で大きく変化している。どういった変化がというと、100あまりあったECUが4~5個の強力な「DCU(Domain Control Unit)」に置き換えられたのだ。

 厳密にいうと、DCUもECUの一種なのだが、従来のECUと比べると1基で複数の機器を制御することが特徴で、あちこちに散らばっていた単機能のECUを集約できるというメリットがある。

 DCUについて、ルイCTOは説明を続ける。

 さて、これらのDCUのうち、重要なものの1つは自動運転のためのDCUで、もう1つは「インフォテインメント(Infotainment)」のためのDCUだ。これらは、LenovoのDNAに非常に合致していると考えている。 特に自動運転のDCUについては、2024年5月に大きな変化が起きた。エンドツーエンド(E2E)の完全自動運転(FSD:Full Self Driving)が成功したことを受け、FSDのアルゴリズムの世界は第2世代へと突入することになった(筆者注:TeslaのFSDシステムの話をしていると思われる)。第1世代のFSDは、端的にいえば「ルールベース」のアプローチだ。大量のルールが書き込まれ、プログラムコードにして30万行以上と、自動運転のための非常に長い制御方法が記されていた。 一方、第2世代のE2E FSDアルゴリズムは、おおむね「ニューラルネットワーク」に基づいたもので、これに「BEV(Bird's Eye View:360度視認システム)」が加わり、私たち人間が自動車を運転するのと非常に酷似した動きをするようになった。視界に入った情報を脳で考え、その結果として右に曲がるか、左に曲がるか、あるいは加減速するかといった判断を行う流れだ。 この第2世代の自動運転が成功した理由だが、世代を移行する過程で必要なコンピューティングパワーがCPUベースのものからAIコンピューティングベースに変化したことがある。当然ながら、ルールベースのアプローチであればCPUのコンピューティングパワーが重要だが、ニューラルコンピューティングの世界ではAIコンピューティングパワーが必要だ。 Lenovoとしても、こうした世界の到来は2~3年前には予測していた。自動車の中で必要なコンピューティングパワーも、CPUベースからAIベースになると考え研究開発を進め、今日に至っている。今回のTech Worldで発表したNVIDIAとのコラボレーションも、2年前から続いているものだ。業界でも最も強力な自動運転用DCUで、(ピーク時の演算性能は)2000TOPSを実現している。これなら、自動運転で必要なニューラルネットワークの処理をサポートできる。

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