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上意下達文化からの脱却 危機的状況のパナソニックを打開するために楠見グループCEOが掲げる「啓」から「更」

ITmedia PC USER / 2025年1月8日 10時5分

 だが、今のパナソニックグループは必ずしもそうなっていません。日本経済は30年間に渡って停滞し、企業も厳しい時期を経験してきました。そして、厳しい環境から脱却するために上からはさまざまな指示が現場に飛びました。「これをやっておけ」とか「この通りにやれ」とか――。

 その繰り返しが、上意下達の風土を社内に根付かせてしまったといえます。振り返ってみると、パナソニックグループは、2000年にV字回復を果たしたわけですが、その前後から、上意下達の風土がはびこっていたのではないかと思っています。私が入社した頃は、上意下達の雰囲気はなく、むしろ、自由かったつさがありました。大きな目標は上から示されたとしても、そこに向かって、どうチャレンジしていくのかということは、みんなで知恵を出してやっていく。これが「松下電器」のもともとの伝統だったわけです。

 今は、それがなくなっている。とても大きな課題です。しかも、その解決には至っていません。約30年間に渡って、上意下達の文化の中で育った人が、今は事業部長や部長になっています。その人たちの仕事のやり方が変わっていない。指示を受けた通りに作業をすることが仕事だと思っている社員が多く、自分で知恵を出して、創意工夫をしていくというやり方を、全社員ができるように変えていかなくてはなりません。

 パナソニックグループの目的は、お客さまへのお役立ちを通じて、お客さまに喜んでいただき、それによって適切な利益をいただくことです。しかし、事業が厳しくなり、売上や販売台数の拡大を優先し、本来の目的から、かけ離れたものになっていたという反省があります。パナソニックグループならではの経営のやり方が、できていなかった時期が長かったともいえます。

 私が、パナソニックグループの中に、上意下達の文化が知らず知らずのうちに根づいていることに気が付いたのは、オートモーティブの事業責任者として、トヨタ自動車と一緒に仕事をしたときでした。

 トヨタ自動車は外から見ていると、トップダウンの会社のようなイメージがあるかもしれませんが、現場は目標に対して一人ひとりが創意工夫を行う姿勢が一子相伝のようにして受け継がれています。

 象徴的なのが、トヨタ生産方式です。現場でのカイゼン活動は、まさに社員一人ひとりの創意工夫によって実現しているのです。これは私見なのですが、期初見通しを上回る業績を達成できるという底力は、現場のカイゼン力にあると思っています。

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