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AIの時代だからこそプライバシー問題を強く意識しよう パーソナルコンピュータ誕生の背景から今に至る歩み

ITmedia PC USER / 2025年1月31日 6時5分

 1973年には、最初の電子掲示板システム「Community Memory」が誕生している。1970年代初頭には電話交換機をだまして、無料で電話をかけるフォーンフリーキングという違法行為が横行した。カウンターカルチャーに染まった若者たちは、個人で電話会社という巨大権力の裏をかくことができることに快感を覚えたのだろう。Apple創業者の2人も、学生時代にこのフォーンフリーキングのための装置「ブルーボックス」を作って販売していたのは有名な話だ。

 そして1975年には技術愛好家が集まって情報を交換する「The Homebrew Computer Club」が結成された。コンピュータ技術の愛好家が集まって情報交換をする会だったが、Appleの最初のコンピュータ「Apple I」も、まずはここで披露されたことがよく知られている。

 まだコンピュータと言えば冷蔵庫ほどの大きさもあるメインフレームが主流で、政府や大企業しか持てなかった時代に、個人でも所有可能なパーソナルなコンピュータ(PC)を生み出せば、個人でも政府や大企業と同じような情報管理の力を持つことができる――アメリカ西海岸でのパーソナルコンピュータの誕生は、そうしたカウンターカルチャーの流れと密接に結びついている。

 こういった背景を知ると、1984年の1月に流れた、初代Macintoshの登場を予告する広告史上最も有名な広告「1984」が、なぜ「1984」をテーマにしていたかが理解できるはずだ。

 ちなみに、IBMはニューヨークが本拠地のアメリカ東海岸の企業で、政府や大企業との結びつきが強く、そういう意味でも、同じパーソナルコンピュータでも、IBM PCはかなり違う文化的背景から誕生している。

●インターネット広告が全てを変えた

 前置きが長くなったが、カウンターカルチャーの流れから誕生したパーソナルコンピュータは、ユーザー個人の“しもべ”であり、身体の拡張だ。ユーザーがやりたいことを実現してくれる「意志の自転車(Wheels for Mind)」であり、政府や大企業などの監視に対抗する力でもある。つまり、基本的にはユーザーの個人情報、プライバシーを守ってくれるべき存在のはずだ。

 しかし、それまで軍事機関や学術機関で限定的に使われていたコンピュータを相互接続するインターネットが、1990年から徐々に一般でも利用され始めると状況が変わってくる(日本では1993年から商業利用開始)。

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