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AIの時代だからこそプライバシー問題を強く意識しよう パーソナルコンピュータ誕生の背景から今に至る歩み

ITmedia PC USER / 2025年1月31日 6時5分

 ただ、ある会社によるこうした個人の監視を、いよいよ無視できない問題になったと世間が知ることになる。Netflixオリジナルドキュメンタリー『グレート・ハック: SNS史上最悪のスキャンダル』でも描かれたケンブリッジ・アナリティカのことだ。

 同社はFacebookの利用者のプロフィールなどを解析して広告を操作することで、第一期トランプ政権を発足させた2016年の米国大統領選挙や、2020年のBrexit(英国のEU離脱)を後押しする情報操作をしていたことが知られており、この件でFacebook(現Meta)のマーク・ザッカーバーグ氏は何度も公聴会に呼ばれることになる。

 だが、これはプライバシー問題の氷山の一角に過ぎない。

 実際には、それとは別に効率的な営業活動などのために消費者の個人情報を含むデータを売買している、データブローカーというビジネスを生んでいる。2020年時点で、このデータブローカー業は年間約30兆円のビジネスだったという。

 だが、これもまだマシだ。通常のブラウザや検索エンジンではアクセスできない「ダークウェブ」という匿名アクセスが可能なネットワークでは、武器、薬物や人身売買などに加えて、個人情報も取引されており、例えば「東京都23区に住んでいる年収○億円以上の医師」といった条件で検索をすると該当する人数が表示され、その情報を購入すると個人の住所やクレジットカード番号などの情報を簡単に手に入れられるということを、ダークウェブを研究しているセキュリティに精通した八雲法律事務所山岡裕明弁護士に教えてもらった。

 現在、問題になっている“オレオレ詐欺”や“闇バイト”による強奪に、こうしたデータが使われている可能性もあると思う。

 プライバシー保護をおざなりにしてきた現代のコンピュータ社会は、ジョージ・オーウェル氏すら予想していなかったディストピアな一面がある。

●これからはプライバシーに依存しないITビジネスが強い

 一方、AppleはiPhoneの売上など製品を開発し販売する製造業としてのビジネスモデル、つまり個人情報に依存しないビジネスを営んでいる(それ以外もIBMやMicrosoftなど、インターネット登場前に誕生しているIT企業は、コンサルティング業やクラウドを含むインフラの販売など個人情報に依存しないビジネスモデルであることが多い)。

 Appleは会社誕生の歴史的背景に加え、今では“特殊”となったビジネスモデルも背景に、プライバシー保護が今後、自社の強みになるということを理解した上で、もともと強かったプライバシー保護の姿勢をさらに強化し、他のインターネットビジネスには真似ができないレベルの厳しさ(真似してしまうとインターネットビジネスが破綻してしまうくらいのレベルの厳しさ)にする戦略に打って出る。

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