戦力外通告、雨の草薙球場~プロ野球選手のセカンドキャリア その1~
Japan In-depth / 2015年12月29日 18時0分
小笠原道大、谷佳知、高橋尚成など大物選手の引退が多かった今年のプロ野球界。
その影で、静かに戦力外通告・自由契約となった選手は104人。プロ選手として、給料を貰えるのは2015年12月31日まで。野球を続けるか、新たな道を進むか。この約2ケ月間、多くの若武者が時に悩み、時に突き進んだ―。
多くの20代の若武者たちのその後、"セカンドキャリア"を追ってみた。
雨の草薙球場
「頑張れ!」、「惜しい」、「打て!」
11月10日の静岡県草薙球場。プロ野球シーズン中とは違う、温かい心が籠った声援が飛び交っていた。DeNAがホームゲームを開催するなど、華やかな色を帯びる日もある球場だが、ここ数年は、各球団から戦力外通告を受けた選手たちのトライアウト、最後のチャレンジの場として定着して来ている。しかも、昨年まで2日行われたトライアウトも、今年は1回に減らされた。
それでも、投手33人、野手14人、合計47人がかつて所属したチームのユニフォームを身にまとい、集まった。収容人員は約2万人、この日の観客は5,200人。ここ数年、毎年、テレビのドキュメンタリーで戦力外選手がクローズアップされているためか、予想外に観客が多かった。
バックネット裏には、中日の落合博満GMや、メジャーリーグのスカウトマン、かつて自らもトライアウトを受け話題になった木田優夫ら約50人の球団関係者がダークスーツに身を包み、熱い眼差しを送っていた。そのダーク色の軍団は鮮やかなオレンジ色のベンチと、絶妙なコントラストを織り成していた。その脇には20台ほどのテレビカメラ、数十人の報道記者が控えた。
この日は、朝から小雨交じりで、時折、雨足が激しくなることもあり、途中、マウンド周辺を中心に、新しい土も入れて整備も行われた。雲が低く垂れこめ、昼過ぎには早くも照明が点灯され、空き観客席には、水たまりが出来た。
グラウンドで守備につくのも、打つのも戦力外通告を受けた選手たち。投手は、打者3人に対して投球を終えると、ローテーションして次々と交代していき、打者は1人当たり4回の打順が回って来る。女性の声で名前と、"前の"所属がアナウンスされると、温かい拍手が起き、さらにヒットを放つと「ウォー」と、言葉にならない声援が沸き起こる。しかも、優しい。
一時でも華やかな活躍をして、ファンの心に残っている選手には、拍手・声援は2、3割増し。そんな中で、ひときわ大きな声援を受けたのは元DeNaの土屋健二投手だった。選手たちの表情は、時に必死の形相だったり、時にやり切った感が溢れたり。彼らの胸を去来するものは何だったのだろうか。
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